北朝鮮、米の出方探る 韓国は信頼関係構築急ぐ 米大統領選
【ソウル時事】米大統領選でトランプ前大統領が返り咲きを決めたことを受け、北朝鮮は核・ミサイル開発を進めつつ、交渉の可能性も視野に米国の出方を探る構えだ。 一方、韓国にはバイデン政権で強固になった日米韓協力が「揺らぎかねない」(地元紙)との不安があり、尹錫悦大統領は次期政権との信頼関係構築を急ぐ考えだ。 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は8月の演説で「対話も対決も選択肢になり得るが、より徹底的に準備すべきは対決だ」と主張。対話の可能性を完全には排除しなかった。トランプ氏とは2018年に史上初の米朝首脳会談を行っており、朝鮮中央通信は今年7月の論評で「首脳間の個人的親交」があったと指摘した。 北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアへの接近を強め、武器供給に加え兵士派遣にも踏み切った。専門家は「戦争が続く間は、ロシアからもっと多くの見返りを得ようとするだろう」と語り、対米交渉よりロシアとの関係を優先すると分析する。 一方、北朝鮮は韓国を「第1の敵対国」と位置付け、対決姿勢を強めている。万が一、トランプ氏が米朝交渉に乗り出せば「韓国が蚊帳の外に置かれる」(専門家)との懸念も指摘される。 韓国大統領府高官は6日、選挙中からトランプ陣営の主要な参謀と接触してきたと明らかにし、「尹大統領と当選者の意思疎通の機会が早期に実現することを期待する」と表明。北朝鮮のロシア派兵で脅威が高まっているとして「韓国の安保に少しの動揺もないよう、新たな米政権と完璧な安保態勢を構築していきたい」と強調した。