『プリシラ』ソフィア・コッポラにインタビュー
──彼女はどんな人?どういう会話をしたか覚えています? 「ガーリーな空気感の持ち主ですね。お互いにファッションや旅行が好きという共通点もあり、一緒にいて楽しかったです。具体的にどんな話をしたのかはあんまり覚えてないんだけど、一緒にお茶してはプリシラの話に聞き入りました。そういえば彼女、プリシラ役のケイリー・スピーニーにこんな話をしたそうです。ドイツでエルヴィスに初めて会った時、サンドウィッチを差し出されたんだけど、あまりにも怖気づいていて、彼の目の前で食べる勇気が出なかったって。ケイリーはそのエピソードをふまえ、出会いのシーンの撮影に臨んだとのことでした」 ──完成した映画を観て、ご本人からどんな感想をもらいましたか? 「プリシラはすっかり感激して、『これはまさに私の人生だし、その時々で抱えていた気持ちを、ケイリーがリアルに演じてくれた』と伝えてくれました。作品を観てもらうのは本当に緊張したけど、彼女自身の物語に忠実に作られていると感じてもらえたことが何よりうれしかったです」 ──プリシラのアイコニックなファッションを再現した、衣装の数々も目を引きます。 「有名な瞬間の数々を再現するのは楽しかったです。衣装からヘアメイクまで、その時代らしく見せることが重要でした。その一方で、別にドキュメンタリーを撮っていたわけではないから、自分たちの解釈も取り入れることができた。その点ではいつも、衣装デザイナーのステイシー・バタットがすごく頼りになります。彼女は過去のファッションを現代的な視点で眺めることで、自分なりの解釈を加えるのがうまいから。だからこそ今回の衣装も、今の私たちが見ても奇妙ではなく、魅力的に映るんです。それがステイシーの才能だと思います。それとプリシラによれば、当時は誰もが人前できちんとドレスアップしていたそう。エルヴィスも寝室のある2階から降りる時は、必ずスリーピースのスーツを身につけていたらしいです。ましてや彼らの家には、スウェットなんて存在しませんでした。プリシラは現在もなおドレスアップするのが好きで、素敵だなと感じます」