物流の「2024年問題」で荷物が届かなくなるって本当ですか? トラック運転手の給料が減る可能性もあり、運転手不足になる?
2024年4月から「トラックドライバーの時間外労働の上限」がこれまで以上に制限されています。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの? 年間の労働時間が他の職業と比べて長いトラックドライバーの労働環境が良くなるというメリットがある一方で、荷物が届かなくなる恐れやトラックドライバーの給料の減少が予測されています。いわゆる、物流の「2024年問題」です。 そこで本記事では、物流の2024年問題でどのような不利益や問題があるのかについて解説していきます。
2024年の法改正で変わること
2024年4月から働き方改革の一環として、図表1の通り拘束時間が1年、1ヶ月、1日で上限が変わっています。拘束時間は労働時間と休憩時間を合計したものです。トラックドライバーは運転時間以外にも荷物の出荷や洗車、休憩時間といった自由にできない時間が多いため、拘束時間を定めて労働環境を整えるようにしています。 図表1
筆者作成 具体的には「1年で3300時間」、「1ヶ月で最大310時間、原則284時間」、「1日で最大15時間以内、原則13時間以内」と上限が変更され、拘束時間が短縮します。これによってトラックドライバーの負担を減らすことが狙いです。 また、1日の休憩時間も継続11時間を基本とし、9時間を最低限でも取るようにするなど、改正前の8時間から伸ばすように変更されています。
物流の2024年問題とは?
トラックドライバーの負担を軽減するために導入される今回の改正ですが、この改正により懸念される影響が2024年問題です。 拘束時間が制限されることで、「1日に運搬できる荷物が減ることで物流が滞る恐れがある」、「1日に運搬できる荷物が減るので、トラック事業者の利益が減少し運転手の収入に影響が出る」、「収入減少によるトラックドライバーの担い手不足」といった問題が生じます。これらが物流の2024年問題です。 トラックドライバーは現在でも担い手不足が深刻で、有効求人倍率は2.11%です。これは全業種の1.13%と比較すると倍近くあり、この点からも担い手不足が深刻である状況が分かります。2024年からは現在働いているトラックドライバーの転職や担い手がさらに不足することも考えられるので、物流業界全体でトラックドライバーが不足する可能性があります。 また、トラックドライバーが減少することに加えて、1日に運搬できる荷物が減ってしまうので物流が滞り、時間通りの配達ができなくなる恐れもあるので注意が必要です。2024年問題は物流業界だけでなく、一般消費者にも影響が及ぶ可能性があります。