英CPI、10月は予想上回る前年比+2.3% 利下げペース慎重に
[ロンドン 20日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が20日発表した10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.3%と、予想以上に加速し、イングランド銀行(英中央銀行)の目標である2%を再び上回った。 国内のエネルギー料金の値上げが主因。中銀が慎重なペースで利下げを進めている理由が浮き彫りになった。 9月は1.7%で、2021年以来初めて目標の2%を下回っていた。 ロイターがまとめた市場予想と中銀の最新予測はともに2.2%だった。 前年比ベースのCPI上昇率が前月からこれほど大幅に加速したのは22年10月以降で初めて。CPI上昇率は6カ月ぶりの高水準となった。 10月のサービス価格上昇率は5.0%。9月は4.9%。中銀の予測は5.0%だった。 エネルギー、食品、アルコール、タバコを除くコアCPI上昇率は前年比3.3%で、9月の3.2%から加速した。 ポンドは統計発表直後に対ドルで約0.3セント上昇。金利先物市場は利下げペースが若干鈍化するとの見方を織り込んだ。 会計士団体ICAEWの経済ディレクター、スレン・ティル氏は「英ガス電力市場監督局(Ofgem)がエネルギー料金の上限を引き上げ、家庭向けの料金が大幅に値上がりした」と指摘。 「サービス価格の圧力がやや強まり、インフレ率を持続的に目標未満に維持するハードルが依然高いことが裏付けられたが、賃金上昇率の鈍化と労働市場の軟化がインフレの持続的な鈍化基調に寄与するだろう」と述べた。 シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)のアソシエートエコノミスト、モニカ・ジョージ・ミハイル氏は金利が高止まりする可能性があると指摘。先に発表された予算案に起因するインフレ圧力、トランプ次期米大統領の就任など世界経済の不透明感を挙げた。 中銀のベイリー総裁は19日公表された議会への報告書で、利下げペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いと強調。予算案に盛り込まれた国民保険料の雇用主負担の引き上げについて「雇用コストの上昇を意味する」とし、物価の上昇や雇用の減少などにつながる可能性があると述べた。