上田麗奈がたどり着いた“本当の優しさ”とは 「聞いてみないとわからないことがある」
上田麗奈を“最も応援してくれた人”
ーーこの作品の雰囲気そのものみたいですね。では、上田さんご自身のこれまでのキャリアを振り返ると、「最も応援してくれた人」はどんな方でしょうか? 上田:いろんな方が浮かんで、本当に人に恵まれていたなと感じます(笑)。でも、家族の存在がすごく大きかったですね。口下手で、あんまり言葉には出さないタイプなんですけど、応援してくれているのは感じていました。具体的に言葉には出さなくても、私の仕事をちゃんと追ってくれていたり、こっそりグッズを集めてくれたり。 ーーあったかいご家族ですね。 上田:特に、声優の仕事を始めた頃って、バイトをしながら養成所に通っていたので、お金も全然ない状態だったんです。そんな中、何も言わずに口座に仕送りを入れてくれていて、本当に心配してくれていたんだなって。実家からお米を送ってくれたりもしました。家族以外にも、周りの先輩とか事務所の方、事務所外のスタッフさんや共演者の方々とか、本当に多くの人が気にかけてくれました。今でも昔一緒にレギュラーやっていた方と友達になって遊んだり、私の猫ちゃんたちの世話をお願いしたりすることもあるんです。東京でも、いろんな場所で大切な人ができたことが本当に励みになっています。相談もできるし、みんな意図的に支えようとしているわけじゃないかもしれないけど、結果的に、私にとっては大きな支えになっているので。そういう関係性がたくさんあるなと感じています。 ーーそういった温かい関係性を築く中で、上田さん自身が心がけていることはありますか? 上田:長らく心がけていたのは、無理をしてでも「常に笑顔でいること」だったんです。 ーーなるほど。「心がけていた」ということは、今は違うのでしょうか? 上田:そうなんです。尖のない空気感を作ろうとしていたんですよね。でも最近、そうしていると、無理して笑っているのを分かった上で「ありがとう」って言ってくれる人がいることに気づいて。そういう人たちに対しては、もう少し無理して笑わないで、素直な気持ちを言葉にしてみるようにしています。「どう思う?」と相手に問いかけて、ちゃんと言葉でコミュニケーションを取る。以前は相手の気持ちを推測して行動することが多かったのですが、今はちゃんと確認した上で、相手が望んでいることを理解して行動するよう心がけています。 ーー相手を傷つけないために、先回りするコミュニケーションが正しいとは限らない、ということですね。 上田:人にちゃんと問いかけて、自分の思いを伝えることが本当の優しさなんだなと気づいたんです。勘だけじゃ当たらないこともあるから、聞いてみないとわからないことってたくさんありますよね。特に大切な人に対しては、そうしていかなきゃと思っています。
すなくじら