サイクルトレインが地域活性化の新たな「鍵」となる 滋賀・大津でシンポジウム開催
サイクルトレインが地域活性化の新たな「鍵」となる 滋賀・大津でシンポジウム開催
自転車を列車に積み込み、気軽に遠方でのサイクリングを楽しめる「サイクルトレイン」。ヨーロッパでは一般的な移動手段だが、日本では自転車を分解して袋に入れる「輪行」が主流で、初心者にはハードルが高いのが現状だ。しかし近年、地域の魅力発信や鉄道利用促進の観点から、国内でも導入の動きが加速している。 こうした背景を受け、歴史街道推進協議会と輪の国びわ湖推進協議会は、2月16日(日)に滋賀県大津市で「サイクルツーリズムシンポジウム2024」を開催する。テーマは「サイクルトレインは地域活性化の鍵となるか 自転車と公共交通でつくる新しい旅と日常の形」。
国土交通省OB金籠氏招き、基調講演
シンポジウムでは、長年サイクルトレイン普及に尽力してきた金籠史彦氏が基調講演を行う。金籠氏は元国土交通省自転車活用推進本部事務局次長で、現在は内閣官房の内閣参事官を務める。学生時代から自転車に親しみ、日本列島縦断やアメリカ大陸横断を経験するなど、その情熱は公私にわたる。講演では、自転車と公共交通の連携による新たな交通まちづくりについて、豊富な知見を基に語る予定だ。
各地の鉄道会社が事例を紹介
さらに、各地でサイクルトレインに取り組む鉄道会社が事例を紹介する。近畿日本鉄道からは、名古屋統括部運輸部営業課長の山本淳氏が登壇。車掌や運転士など現場経験豊富な山本氏は、地域観光の課題解決に向けた鉄道を活用した取り組みを紹介する。JR西日本からは、和歌山支社地域共生室の大石有希子氏が、2021年から担当するサイクルトレインの企画・運営について語る。近江鉄道からは、鉄道部鉄道営業課長の和田武志氏が登壇。構造改革推進部での経験も持つ和田氏は、地域協働の取り組みや、メディアを通じた情報発信についても触れる予定だ。
白熱のパネルトークも
後半には、基調講演の金籠氏、近鉄の山本氏、近江鉄道の和田氏に加え、JR西日本の松田彰久氏もパネリストとして参加するパネルトークが行われる。松田氏は現在、本社人財戦略部の担当部長を務めるが、2021年から和歌山県内でのサイクルトレイン施策を牽引してきた。コーディネーターは、輪の国びわ湖推進協議会の南村多津恵氏が務める。環境問題にも精通する南村氏の進行で、日本のサイクルトレイン普及に向けた課題や展望について、活発な議論が期待される。