会社経営が順調なら”節税”に力をいれたほうがいいですよね?→いや、むしろ”納税”したほうがいい…そう答える「納得のワケ」【不動産売買のプロが解説】
経営がうまくいくと、その分税金の負担が大きくなります。そのため「不動産投資よりも節税に力を入れたほうがいいのでは?」と考える人もいるようです。しかし、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)の著者である青木龍氏によれば、「長い目で見れば、むしろ納税したほうがいい」のだと言います。ここでは著書より一部抜粋し、その理由をお伝えすると共に、不動産投資の中でも「オフィスビル投資」を推す理由を紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
「節税」よりも「納税」のほうがメリットあり
「本業が順調なら、不動産投資をするよりも節税をしたほうがいいのではないか?」そんな意見もあるかと思います。 節税は決して悪いことではありませんが、不動産投資をするしないにかかわらず社会的信用の面からもむしろ納税をしたほうがいい、と私は考えます。特に不動産投資をするなら、しっかりと納税をしておいたほうがいいでしょう。 会社の調子が良ければ良いほど、支払うべき税金の額も増えますから、できるだけ節税をして税金の支払いを抑えたいと考えるのは当然です。有価証券や不動産投資を行う、生命保険に加入するなど、投資という側面であればその考え方は正しいでしょう。 しかし、中には高級車やクルーザーや高級ブランド品(時計など)を購入して「節税+嗜好品」として会社のお金をモノに変える人もいます。 正しく行えば、節税が悪いことだとは言いません。しかし、金融機関からの社会的信用を考えると、むしろ納税したほうがいいと思うのです。金融機関からの社会的信用を得られる=今後の融資が有利になるからです。投資をしないにしても今後の経営資金を調達する場合でもメリットがあります。 たとえば、1億円の経常利益が出たA社とB社があるとします。A社はきちんと納税を行い、B社は5,000万円の節税を行って納税しています。A社は納税が約30%なので、3,000万円が納税額、7,000万円が純利益として手元に残ります。 一方、B社は節税した残り5,000万円から納税するので、納税額は1,500万円、純利益が3,500万円になります。純利益に倍の違いが出ますね。 では、両者を社会的信用の観点で見てみましょう。私の経験上、金融機関は一般的に純資産に対して3倍のレバレッジで融資を考えてくれます。レバレッジとは「経済活動において他人資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めること。その倍率」という意味です。 A社とB社が翌年に金融機関から融資を受ける場合、A社は7,000万円の純利益の3倍の2億1,000万円の融資を受けることができます。手元資金を加えると2億8,000万円の経営原資で次年度をはじめることができます。 一方、B社は3,500万円の純利益の3倍で1億500万円の融資を受けることができます。手元資金を加えて、1億4,000万円で次年度をはじめることになります。 もちろん、これは融資を“受けられたら”の話です。社会的信用でA社に劣るB社が融資を受けられない可能性もなくはありません。その場合には、次年度の経営資源の差はさらに大きくなります。 くり返しになりますが、不動産投資も節税の1つなので節税そのものを否定するわけではありません。しかし、下手な節税をするくらいなら納税をして社会的信用を獲得した上で、営業外収益をもたらす賢い投資をしたほうが、長い目で見ると得と言えるのではないでしょうか。
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