倒産は”悪”なのか?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■人間関係から逃げれば再起が遠のく
会社が倒産に近づくと、社長のよくわからない借金が増えます。キャッシングや消費者金融など、記録が残るものもあれば、友人から現金で借りたようなお金もあるでしょう。自己破産手続きでは、こうした簿外債務に関しては取り扱うことができません。 つまり、例えば自己破産で会社の借金や債務はなくなった。でも、友人に借りたお金は帳簿上に載っていなかったので、残っている。そして、破産後もその借金の督促を受けている、ということもあります。そうなれば、破産をしても借金が残ることになってしまい、自己破産の効果が薄れてしまうわけです。こうした簿外債務に関しても、きちんと清算すべきです。 手続きそのものも重要ですが、最後に突然通告するのではなく、事前に会社の終活として、関係各位に筋を通しておくこと。こうしないと、その地域で生活することすら難しくなります。 自己破産手続きそのものは法律で認められた権利です。重要なのは、関係各位との人間関係。ここから逃げてしまうと、真の意味での破産、再生は難しいのではないかと思うのです。
■人生は、何度でもやり直すことができる
ちょっと暗い話になってしまいましたが、社長にとって会社経営は正に人生そのもの。そして会社経営なので、常に順風満帆というわけにはいきません。 ときには倒産のシグナルを出してしまいながらも、何度も軌道修正して会社を維持し、社員に給料を支払い続ける。いまは笑顔の社長でも、涙を流したこともあるかもしれない。歯を食いしばって耐えたこともあったかもしれない。会社経営って、そういうものです。 だから、もしあなたが社長だったら倒産してもまた再起してほしい。いつか必ず笑い話になりますから。そして、もしあなたが社員の立場だったら、一所懸命頑張っている社長を応援してあげてほしい。 倒産くらいで人生投げちゃダメです。 何度だってやり直しができるんですから。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。