倒産は”悪”なのか?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■法人の終活~関係者へ筋を通すことが大切
「最後の終わらせ方」に再考の余地があったのかもしれない。そうお伝えしましたが、多くの社長は、倒産することを最後まで公開しません。それは最後まで可能性を追っているのか、それとも会社が傾いたことを知らせたくないプライドなのか。 その立場に立ってみないとわかりませんが、多くの場合、倒産を知らされるのは直前、またはその事実が確定したときです。 社員の立場なら、会社に出社したら倒産を上司や社長から告げられたとか、会社のエントランスに「倒産」の張り紙が貼ってあったとか。取引先や顧客なら、同様に突然のFAXや郵送通知で知る。あるいはウェブサイトの「お知らせ」で知るということもあります。いずれにせよ、突然知らされるわけです。 社長が最後まで可能性に賭けたいのはわかります。しかし、倒産を決める前に関係者と誠実に協議するという選択肢もあります。倒産後、逆上して誹謗中傷や暴言、中には暴力行為などまでに発展する場合もありますが、多くは「これまでよくしてやったのに、蚊帳の外で話が進んでいた」ことに腹を立てるわけです。 社長としては、苦渋の判断となりますが、事前に関係者や社員には筋を通しておいた方が最後はスムーズに進むのかもしれません。 例えば、突然「倒産しました」と言われても、もうできることはありません。 しかし、閉店セールのような気楽さは難しいとしても、◯月◯日に会社を閉めることにしましたと言えば、誰かが助け舟を出してくれる可能性だってあるし、これまでの取り引き実績を考え、最後の債務に関しても、何かしらの妥協点を探ってくれる可能性だってあります。 社長としては、これ以上苦しいことはないはずです。 でも、最後の最後をきちんと筋を通しておけば、再起のときにも支援者が出るかもしれない。あるいは、社長が望まないかもしれませんが、再就職口を世話してくれるかもしれないし、実力を買われて相談役みたいなポジションで呼んでもらえるかもしれない。