改めてほっこり、エコな生活も「ぐりとぐら」シリーズの隠れた名場面4選【追悼|児童文学作家・中川李枝子さん】
『ぐりとぐらとくるりくら』あらすじ
ある天気のいい日、ぐりとぐらは朝ごはんを原っぱで食べるため、ぐりぐらサンドを作って、原っぱに向かいました。原っぱに着いたとき、ぐりとぐらの帽子を誰かが引っぱりました。木の上を見上げると、帽子を2つかぶった手の長いうさぎのくるりくらがすましています。ぐりとぐらはくるりくらと一緒に朝ごはんを食べたあと、くるりくらの肩に乗って3人で歌いながら遊びに行きます。楽しいお友だちとの出会いを描いたお話です。(福音館書店『ぐりとぐら』特設サイトより)
2002年発売『ぐりとぐらのおおそうじ』より「古着を全身に巻き付けた“ぐりとぐら”に子うさぎが驚くシーン」
窓から顔を出しているのは誰だか分かりますか? 正解はぐりとぐらです。「ぞうきんだよ」「ほうき・はたきだよ」と言っていますね。2匹は不用になった古着を着こみ、自ら掃除用具となって家の中を滑って、大掃除をしています。エコな発想で描かれていて、楽しみながら家事をするための工夫が効いたワンシーンだと思い、こちらを選びました。 訪ねてきたうさぎがびっくりする様子も可愛いのですが、注目していただきたいのが表情はあまり驚いていないところ。読者の子どもたちが想像力を働かせるためには、文章も絵も「嬉しい」とか「悲しい」など登場人物の感情をあまり表現しすぎないようにするのが絵本の鉄則なのです。大げさに語らず抑えが効いている方が、よい作品とされています。その分、お話の展開が具体的でわかりやすいというのも大切なポイントなのですが、中川さんと山脇さんの作品は、まさにそのお手本だと思います。(『こどものとも』編集長 関根さん)
『ぐりとぐらのおおそうじ』あらすじ
雪に閉ざされた長い冬が終わった春の朝、ぐりとぐらが、窓を大きく開けて朝ごはんを食べていると、なんと家中ほこりだらけ! 「今日の仕事は、大掃除」と2ひきは張り切りますが、ほうきもはたきも雑巾も、すり切れて使いものになりません。そこで、ぐりとぐらは、ぼろ布を体中に巻きつけて、自分たちがほうきや雑巾になることにします。大掃除もぐりとぐらにかかると、こんなにダイナミックに楽しくなります!(福音館書店『ぐりとぐら』特設サイトより) 取材・文=鈴木彩(婦人画報編集部)