改めてほっこり、エコな生活も「ぐりとぐら」シリーズの隠れた名場面4選【追悼|児童文学作家・中川李枝子さん】
『ぐりとぐらのおきゃくさま』あらすじ
ぐりとぐらは、森で雪の上に大きな足あとを見つけました。足あとは森をぬけ、原っぱを通り、ぐりとぐらの家まで続いていました。ドアを開けると玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバーと白いマフラー、そして赤い帽子がかかっています。いったい誰? そのときいい匂いがしてきたので、台所にいってみると、そこにはまっ白なひげのおじいさんが焼きたてのケーキを作って、待っていました。(福音館書店『ぐりとぐら』特設サイトより)
1979年発売『ぐりとぐらのえんそく』より「毛糸を巻きながら辿っていき、庭仕事をするくまに出会うシーン」
ここを選んだのは、編み物をほどく際に手に伝わってくる気持ちのよい感触を思い出す、そんなシーンだからです。 昔は「着られなくなったニットはほどいて毛糸玉に戻し、また編みなおす」というのが普通でしたけれど、現代の子どもたちはあまり毛糸がほどけていく感触を知らないかもしれませんね。だからこそこの絵本のように、例えば着なくなったニットをお子さまと一緒にほどく体験をしてみるのもよいかもしれません。「セーターって1本の毛糸からできていたんだね」 など学びがありそうですよね。 お話の中でぐりとぐらがそうしたように、例えば毛糸の端を玄関に置いておいて、それを丸めながら辿っていくとゴールにおやつがあるとか、そういう遊びのヒントにもなると思いました。(『こどものとも』編集長 関根さん)
『ぐりとぐらのえんそく』あらすじ
重いリュックサックを背負った、ぐりとぐらは野原へ遠足に行きました。お昼になるまで、まだたっぷり時間があります。ぐりとぐらは、体操を始めて、次にマラソンを始めました。けれども、ぐりとぐらは毛糸にひっかかって転んでしまいます。あれ? ずっとずっと向こうまでつながっている? ぐりとぐらは、ボールくらいになるまで巻いていくと、森の中に家があって、そこを通り抜けると、やっと止まりました。一体何が待っていたのでしょう?(福音館書店『ぐりとぐら』特設サイトより)
1987年発売『ぐりとぐらとくるりくら』より「くるりくらと2匹が雲に乗って空の散歩をするシーン」
こちらは“おまじない体操”をして手が長く伸びた、うさぎの“くるりくら”が登場するお話です。くるりくらは、いたずらをしたり、木に登ったり、雲を集めたりと、子どもたちが「もしも手が伸びたらやってみたい」と思うようなことを次々と実行し、最後はぐりとぐらとともに雲に乗って空を飛びます。空を飛ぶなんて、大人だって憧れる夢ですよね。 眼下にはのどかな田舎の風景が広がり、くるりくらの家も見えます。美しい景色の中で友達と一緒に空を飛び、地上には大好きなお母さんが見える。「おかあさーん、ヤッホー」と上空から呼び掛けるシーンは、まさに“幸せそのもの”を表しているなと感じ、この場面を選びました。 このあと、お母さんは熊手を使って3匹を雲ごと地上へ引き寄せるんですけどね。うさぎのお母さんの頼もしい様子にもご注目ください。(『こどものとも』編集長 関根さん)