なぜ都会シニアはピンピンで地方シニアはヨボヨボなのか…整形外科医が勧める健康寿命を伸ばす意外な活動
老後を楽しく過ごすためにはどんなことに気を付けたらいいか。整形外科医の杉本和隆さんは「ひざの老化を遅らせることが大切だ。そのために、日頃から、骨盤や脚の筋肉をきたえる運動をすべきだ」という――。(第1回) 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、杉本和隆『痛みがすーっと消える 魔法のひざ体操』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。 ■ひざの痛みを我慢してはいけないワケ ひざの痛みといっても、その度合いはさまざま。痛みは本人の感覚であるだけに、これは強い痛みなのか、弱い痛みなのか、一時的な痛みなのか、永久的な痛みなのか、自分ではなかなか判断がつきません。 多少の痛みなら「自然に治るかも」と思っているうちに、慣れてしまうこともあります。でもそれが怖いのです。どんなに軽い痛みだとしても「痛みは我慢しない」ことが大切です。我慢しているうちに、ひざはどんどん壊れていき、我慢の期間が長いほど、治療が難しくなってしまうからです。 ひざ痛が初期から中期の場合は、手術しないで治すことができます。これを「保存療法」といいます。保存療法のおもなものには「薬物療法」と「理学療法」があります。薬物療法はその名の通り、外用薬や内服薬で治療すること。外用薬には湿布薬や軟膏などが使われ、内服薬には消炎鎮痛剤が用いられます。 痛みの原因である関節の動きをよくするために、ヒアルロン酸を関節内に注射するのも薬物療法のひとつで、初期や中期の治療には効果があります。さらに最近では厚生労働省から認可された自由診療である「PRP(多血小板血漿)療法」や「幹細胞療法」などもあります。 ■鍛えるべき筋肉 理学療法には「運動療法」と「装具療法」、そして「温熱療法」などがあります。装具療法ではひざにサポーターなどの装具をつけることで、グラグラするひざを安定させ、痛みが出ないようにします。温熱療法では、温湿布や電気を当てるなど、ひざを温めることで血行をよくして痛みを軽くします。そして理学療法で一番大事なのが「運動療法」です。 ひざ痛の運動療法には「大腿四頭筋強化トレーニング」「関節可動域改善運動」などがあります。大腿四頭筋は太ももの前面の大きな筋肉で、ひざ関節を保護する最も重要な筋肉です。ここを強化すればひざを安定させることができます。 またひざ痛の人は関節が大きく曲がらなくなっているので、これをできるようにするのが、関節可動域改善運動です。 この本で紹介している体操は、ひざ痛の改善に大きな効果がある大腿四頭筋を強化する運動が中心となっており、これらの運動を日常的に行うことで大腿四頭筋がきたえられ、ひざ痛が出ない体を作ることができます。さらにいえば、「ひざ痛は大腿四頭筋の強化で改善できる!」と私は強く思っています。