65歳以上でリタイア済の夫婦世帯「1ヵ月の生活費」は平均でいくら?年金や貯蓄額も踏まえた老後対策を
総務省によると、8月分の消費者物価指数(総合指数)は前年同月比で3.0%の上昇となり、2020年を100として109.1まで上昇しました。 ◆【写真4枚】65歳以上無職夫婦の1ヵ月の生活費はいくら?図表でチェック 物価上昇が続く中、老後の生活への不安は高まってきており、老後のお金については大きな関心事となっています。 特に、65歳以上で年金受給を開始し、現役をリタイアした世帯は日々の生活で実感されていることでしょう。 年金受給者の中には、年金だけでは生活が厳しいという声も少なくありません。 老後の生活を安心して過ごせるためにどうしたらいいのかといった相談を、FPである筆者も多くの方から受けています。 「老後に向けて今から何をしたらいいのか」「今のままで老後を迎えて大丈夫なのか」などといった不安の声が多くあります。 では、老後に向けてどういった考えや準備が必要なのでしょうか。 老後が心配といっても、多くの方は漠然とした不安でなんとなくといったところもあります。 本記事では、65歳以上・無職夫婦世帯の1ヵ月の生活費の平均をみていき、老後の生活感をイメージしていただき、安心した老後に向けてどんな準備が必要なのかを考えていこうと思います。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
65歳以上「無職夫婦世帯」の貯蓄額は年々増加傾向にあり。保有資産の内訳にも注目
昨今、65歳までの就労を希望する方が増加しています。2025年4月には、65歳までの雇用機会の確保が企業へ義務化されるため、希望する人すべてが65歳まで働けるようになります。 それでは、65歳を老後のスタートとして見据えた場合、貯蓄はいくら準備しておけば良いのでしょうか。 総務省の家計調査報告によると、65歳以上の「無職夫婦世帯」の平均貯蓄額は年々増加傾向にあり、2023年時点で2504万円であることが判明しています。 まずは、2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移をみていきましょう。 ●2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移 ・2018年:2233万円 ・2019年:2218万円 ・2020年:2292万円 ・2021年:2342万円 ・2022年:2359万円 ・2023年:2504万円 少子高齢化による年金を負担する世代の減少や、年金支給開始年齢の段階的な引き上げなどにより、公的年金だけでは生活を維持できるか不安に感じる世帯が増えていると考えられます。 このような不安を減らし、老後の生活を豊かにするためにも、貯蓄が年々増加しているようです。 次に、保有資産の内訳についてもみていきます。 ●シニアの保有資産の内訳 ・有価証券:480万円 ・生命保険など:413万円 ・定期性預貯金:846万円 ・通貨性預貯金:754万円 ・金融機関外:11万円 合計:2504万円 2023年は、保有資産のうち、有価証券の金額が前年比+80万円と大きく増加しました。一方で、定期性預貯金の金額のみ前年比▲19万円と減少しています。 2018年からの推移で見ても、全体に占める有価証券の割合は増加傾向にあり、定期性預貯金の割合は年々減少していることが分かります。 世間の「貯蓄から投資へ」の流れの中で、資産運用を始める世帯が増えていることが大きな理由でしょう。 一定金額まで非課税で投資を行える、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度は、シニア世代にも多く利用されています。 では、65歳以上の「勤労世帯も含む」貯蓄額は、無職夫婦世帯のみの場合と比較して、どのくらい差があるのでしょうか。