イーロン・マスク氏のテスラ、1100億円超相当のBTCを移動させた4つの理由
イーロン・マスク氏が支配するテスラは今週初め、ほぼ2年間手つかずのままだった7億5000万ドル(約1130億円、1ドル150円換算)相当のビットコイン(BTC)を新しいウォレットに移動し、波紋を呼んだ。 この動きは、テスラとマスク氏の意図と、さらなる売り圧力の懸念をめぐる会話に火をつけた。 この電気自動車メーカーは、約40時間前の移動の時点で、4番目に多くのビットコインを保有する企業であり、約1万BTCを保有していることがビットコイントレジャリーズ(BitcoinTreasuries)のデータで示された。テスラは2021年に保有を積み上げ、2022年の弱気相場のなかでかなりの量を売却した。 アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)から入手した16日の移動に関するデータによると、ビットコインは取引所ではなく新しいウォレットに移され、大規模な売却に対する初期の懸念が緩和された。テスラやマスク氏はこの動きについてまだ公にはコメントしていないが、同社が第3四半期の決算を報告する来週初めには、より詳しい情報が得られる可能性がある。 理由は今のところ推論に限られており、ウォレットの管理から資金の再編成まで多岐にわたるとCryptoQuantのコミュニティアナリスト、Maartunn氏は15日、CoinDeskとのテレグラムによるインタビューで語った。 1.コンプライアンスまたは内部監査:テスラは報告や内部監査に関連する会計上あるいは法律上の義務を果たすために、ビットコインを移動させる可能性がある。2.ウォレットの管理:テスラは運用目的で複数のウォレットを使用している可能性がある。ただし、新しく作成されたアドレスは同様のP2PKH(Pay to PubKey Hash)形式のアドレスを使用しているため、この可能性は低いとされている。3.資金の再編成:マウントゴックス(Mt.Gox)で見られた動きと同様に、将来の売却や融資を見越してビットコインの保有を再編成する戦略の一環である可能性がある。だが、コインベース(Coinbase)への送金など、売却の証拠が出るまではそのような憶測は避けるべきだ。現時点ではそうした証拠はない。 ソーシャルメディアで話題になっているもう1つの考えられる理由は、UTXO(未使用のトランザクションアウトプット)の統合だ。これは、複数のUTXOを1つ、もしくは数のより少ないUTXOに統合するプロセスを指す。UTXOは、将来のトランザクションで使用されるのを待っている、未使用トークンの個々の額と考えることができる。 トランザクションで個々のUTXOが使用されるとトランザクションのサイズが大きくなり、マイナーはトランザクションのデータサイズに基づいて支払いを請求するため、手数料が高くなることにつながる。UTXOを統合することで、将来のトランザクションのインプットが少なくなり、コストが削減され、より大規模なトランザクションの速度が向上する可能性がある。 |翻訳・編集:廣瀬優香|画像:Shutterstock|原文:Four Reasons Elon Musk’s Tesla May Have Moved $760M of Bitcoin
CoinDesk Japan 編集部