日本代表3バック「ベスト布陣」は? 代表OB「継続する価値がある」と断言する訳【見解】
3バック採用の理由を推察、理想は2システムの併用と状況に応じた使い分け
森保監督は3バックを採用した理由の1つとして、「ディフェンスラインの選手が世界の舞台で力を見せてくれている」という点を挙げている。金田氏は加えて、ウイングバックの豊富な人材、やや手薄で不安を抱えるサイドバックの現状も影響していると推察した。 「高さ・強さ・展開力を備えたセンターバックタイプの選手が豊富で、走力と技術を兼備するウイングバックタイプも多い。一方、サイドバックの人材自体はいるが、パフォーマンスの安定感と選手層にはやや不安を残す。3バック採用に踏み切れるのは選手の成長があったからこそだが、今の日本代表の選手レベルと選手層であれば、攻撃・守備陣ともに個々の特性が上手くはまるのは3バックで、3バックが最適解の可能性がある。森保監督ら首脳陣も、当然その点を理解して6月シリーズで3バック採用に踏み切ったのだろう」 6月シリーズを通じて3バックで様々な選手がテストされたなか、金田氏が考える現時点での3バック“ベスト布陣”はシリア戦先発メンバーと分析している。 「2試合を通じて3バックを採用したが、シリア戦の先発が現時点のベスト布陣だろう。当然起用される選手によってシステムの最適解は変わるわけだが、今回先発した11選手であれば3バックのほうが個々の特性をより生かせるポテンシャルを感じた。ポジションの役割、プレーの整理もしやすそうな印象を要所で受けた」 金田氏が求める理想型は4バックと3バックの併用であり、状況に応じた使い分けだ。「3バックは主戦システムにもなり得るし、仮にならなかったとしてもオプション布陣として継続する価値がある」と語り、次のように総括していた。 「3バックに固執する必要は全くないが、4バックと同程度に使いこなせるようになると、日本のレベルは確実にワンランク上がる。4バックが機能不全の時は3バックにガラッと変えることもできるし、逆もしかり。主戦システムが2つあることによる安心感、相手に的を絞らせないメリットなどもあるだけに、ぜひこのまま3バックを磨いてほしい」 [プロフィール] 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
FOOTBALL ZONE編集部