8Kテレビは普及するのか?
「8Kテレビ」とは
米ラスベガスで開催された世界最大規模の家電見本市「2015インターナショナルCES」。さまざまな新製品・新技術が公開されましたが、なかでも「8Kテレビ」が注目を集めました。 8Kテレビは、現行のテレビシステムに採用されているハイビジョン(2K)を大きく超える、高解像度のテレビシステムおよび受像機です。2Kテレビの次世代製品として「4Kテレビ」が普及しはじめたところですが、早くも次々世代のテレビシステムが姿を現した形です。2012年8月には国際標準規格(ITU-R勧告BT.2020)として承認され、実用化に向けて動き出しています。 この8Kテレビは、またの名を「スーパーハイビジョン(SHV)」といい、NHK放送技術研究所と日本の家電メーカーを中心に開発が進められてきました。現行2Kテレビの水平1,920×垂直1,080/約207万画素に対し、4Kテレビは情報量が4倍の3,840×2,160/約830万画素、8Kテレビはその上を行く7,680×4,320/約3,318万画素です。画素数でいえば8Kテレビの情報量は4Kテレビの4倍、2Kテレビの16倍ということになります。 テレビの画素数は映像の情報量を意味し、精細感と質感に大きな影響を与えます。大型化が進む近年のテレビは、2Kテレビでは60インチを超えるあたりから映像に粒状感が出てしまいますが、同じ60インチでも4倍の情報量を持つ4Kテレビであればほぼ気にならなくなります。製品化されてはいませんが、4Kテレビの4倍となる画素数の8Kテレビが同じインチサイズで登場すれば、実物まではいかずとも印刷物が眼前に広がるかのような感覚に陥るかもしれません。80インチ以上の超大型パネルに表示しても、高い精細感が得られるはずです。 8Kテレビの映像規格では、色の再現性や1秒間あたりの画像の枚数(フレームレート)が2Kテレビに比べ向上しています。表示可能な色の範囲を意味する「色域」は、2Kテレビの色域規格(BT.709)に比べ格段に広くなり、より実物に近い色表現が可能になりました。フレームレートも120Hz(1秒あたり静止画120枚)の規格が追加され、被写体の動きが激しいシーンでの「動画ぼやけ」が発生しにくくなっています。 音響システムも強化されます。ITU-R勧告では、音声は上部層に9、中間層に10、下層に3の22チャンネル、低音域効果用の2チャンネルをくわえた「22.2ch」が仕様として定められています。マルチチャンネル再生は臨場感の再現に効果的ですが、一般家庭で20台以上ものスピーカーを設置することは難しいため、簡易仕様の制定が見込まれています。