青木真也、ONEと再契約「ここで最後」 4か月に渡る交渉の中身「雑に扱われたくない」
青木サイド、ONEで共通していた「安売りしたくない」
交渉は1月の試合後から行っていたが、結果として4か月かかった。1度は完全に交渉することを拒否した。どんな話をしてきたのか。チャトリCEOは「青木はRIZINに行きたい」のだと思っていたという。 「それはショックだった。伝わってねぇなって。俺がいまRIZINに行ってもただ消費されていくだけでしょ。確かに世の中には『RIZINで』の声もある。彼は真っ直ぐなんだろうね」 もうお金ではない。「雑に扱われたくない」が何よりも分かってほしいことだった。 「チャトリは『真也は若いしコンディションも良い』って言ってくれるけど、キャリアの終盤であることは分かるよね? って。そこで俺は何をしたくないか、分かりやすく言うとベアナックルとか金稼ぐためにやっていくとか……。自分が築いてきた資産、レガシーを切り売りしていくことはしたくないんだと。とにかく大事にしてほしいって言ったんですよ。それさえやってくれるなら俺は他に行くことなくやっていくって」 この点で2人は共鳴しあった。 「チャトリは『今まで僕たちが創ってきたものを安く売ってつぶしていくようなことはさせたくない』って。ONEとの契約が終わったからといって、他で安く使われるのは嫌だと。そこの気持ちはお互いに同意できたんですよ」 他とは違う独特の関係性だ。青木本人に言わせれば「トムとジェリー」。現在は団体の社長と所属選手という形だが、元はコーチと選手。それ以前に友達だった。 「社長として彼(チャトリCEO)は強い姿勢を他に見せなきゃいけない。俺はそこで下にいる人間として社員ごっこをしなければいけない。社長と選手の関係になることによってONEとしての意向だったり、資本主義、競争のなかで団体として勝ち抜く思想と相反することもある。だからこの関係性は正直好きじゃない。でも仕方ない」 チャトリCEOは会見のたびにONEの視聴数や世界でどれだけのシェアがあるかを強調する。一方で青木は数字とは別のベクトルで「社会にとって有益なものを創る」という思いで闘っている。友達のような楽な関係ではないが、お互いの“ルール”は理解し合った上で契約した。 「今のお金でやれる期間はそう長くない。それが終わったあとに自分で描きたいものもある。ONEの下の方でやるのか、もしくは違ったものでやるのか。それはチャトリには伝えていて、向こうも了承してくれている。レジェンドマッチとか少しノスタルジックなことをやりたい計画があると話したら『そのときは今のお金は払わないけど、ONEでやってやるよ』って。価値基準が全部お金なのは『うーん』なところなんだけど」