仏製ミラージュ2000戦闘機、来年初めにウクライナへ 爆撃能力強化に期待
フランスのセバスチャン・ルコルニュ軍事相は8日、ミラージュ2000戦闘機をウクライナに引き渡す時期は2025年1~3月期になると明らかにした。 ルコルニュによると、フランスのダッソー社が手がけるこの無尾翼デルタ翼の超音速機は引き渡し前に「空対地戦闘や電子戦防御用の新たな装備」が搭載されるという。 どうやら、今年6月にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が供与を表明して以来、観測筋がうすうす予想していたことが裏づけられたようだ。ウクライナ空軍は新たに取得するミラージュ2000も、現有の旧ソ連製MiG-29戦闘機、Su-24戦闘爆撃機、Su-27戦闘機にすでに懸吊させているのと同じフランス製弾薬で武装させるのではないか、という予想だ。弾薬は具体的に言えばSCALP-EG巡航ミサイルやAASMハマー滑空爆弾である。 最大250km先の地上目標を精密攻撃するための武装をした単発単座のミラージュ2000は、ウクライナ空軍の老朽化した可変翼機Su-24を補うものになる。一方、ウクライナがほかの欧州諸国から計85機取得する見込みとなっているF-16戦闘機は、Su-24より多少新しいMiG-29とSu-27を補うものになる。ウクライナ空軍のF-16はすでに1機が失われた。 ウクライナに供与されるミラージュは、ダッソーが1990年代にフランス空軍向けに開発したミラージュ2000-5(英語での通称「ダッシュ・ファイブ」)だ。37機製造され、うち現役のものも今後2029年にかけて退役する予定となっている。ただ、ルコルニュは以前、後継機である同じくダッソー製ラファールの納入が早まれば、ミラージュ2000-5との入れ替えは前倒しになる可能性があると言及していた。 事務手続きを少しばかり急げば、フランスは2025年中にミラージュ2000-5を25機かそこらウクライナ空軍に提供できるとも考えられる。これだけあれば、ウクライナ空軍は既存の爆撃部隊である第7戦術航空旅団の戦力をさらに拡充するか、新たな旅団を編成できるだろう。 ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を拡大してから、第7戦術航空旅団はすでにかなり拡張しているので、2個目の爆撃旅団を新設するほうが可能性は高いだろう。