高性能EVで新しいカテゴリー作った 「アイオニック5N」、オンライン販売を推進-ヒョンデ日本法人社長
韓国・現代自動車(ヒョンデ)の高性能電気自動車(EV)「アイオニック5N」の販売が日本で始まった。本格的なサーキット走行やドリフトが楽しめ、感性に訴えるドライビング体験を享受できる新しいEVだという。 【動画】650馬力、サーキットで本領発揮のEV「アイオニック5N」 最高出力は478kW(650PS)、最大トルク770Nm。最高速度は時速260キロで、停止状態から時速100キロまでの加速は3.4秒という。走行中に疑似的エンジンサウンドを発するなど、斬新な工夫も凝らされている。それでいて価格は858万円だ。 この車を日本市場でどのように販売し、ブランド認知度をアップしていくのか。日本法人ヒョンデモビリティジャパンの趙源祥(チョ・ウォンサン)社長にインタビューした。(時事通信解説委員 宮坂一平) ―今までのカテゴリーになかった車という位置付けだが、アイオニック5Nはどのような顧客層を想定しているのか。 (サーキットでの)先行試乗会に来ていただいたお客さまを見ると、既にモータースポーツとか、高性能の車を日ごろから楽しんでいらっしゃる方。日本では、そういった顧客層がワイドで、とても厚みがあると感じた。 その中に、「高性能なEVとは」と気になっている方々がいる。私たちは今までそこにアクセスできていなかった。 ―高性能なEVはドイツ車ブランドにも存在するが、何が違うのか。 新しいカテゴリーのEVを作ったつもりだ。高性能車の定義とは何か。速く走るとか、0~100キロ加速が何秒とか言うよりも、アイオニック5Nには、エンジンを搭載した高性能な内燃機関車とは異なるところがいっぱいある。 スタイルもユニークだし、アクティブサウンドとか、デジタルとの融合とか。これが何と比べられるかと言うと、私としては、これからの新しいカテゴリーだと思っている。 ―運転機能だけでも多過ぎてなかなか覚えられない。何度もサーキットに通わないと。 実は私もそう。Nローンチコントロールとか、Nレースとか、Nペダルとか。いろいろあって、それらをどう融合させればもっと楽しく運転できるかについても学ばないといけないくらい。だから、もっと乗りたいと思わせてくれる。 ―顧客獲得に向け、今後もサーキットでの試乗会を主催していく考えか。 参加の機会をもっと確保して、ユニークな体験を提供していかないと。全国に存在するクラブや同好会に車を提供し、経験してもらうパターンもある。「富士スピードウェイ」とか「THE MAGARIGAWA CLUB(ザ・マガリガワ・クラブ)」とか。 ―今後もオンライン販売のみに徹していくのか。 基本戦略はオンライン販売のみだ。試乗とか商品説明とか、納車とか物理的な接点が必要な拠点は広げていくが、本質的な販売モデルはこれからも推進していく。 ―それはなぜか。 私が信じているのは、全てがオンラインで購入できる時代が必ず来るということだ。しかもすぐに来る。技術と消費者と環境がそろえば、爆発的に伸びると思う。その前に着実に準備し、土台を作る。 ―ヒョンデのグローバル展開で、オンライン販売に特化している国は他にあるか。 全くのオンラインは日本だけ。店舗とオンラインを並行しているところはあるが、私は絶対駄目だと思う。オプションがあれば、皆店舗に行ってしまう。だから挑戦し開拓していく。 ―ヒョンデは日本への再上陸から日が浅いが、ブランディングの要は。 ラインアップの拡大だ。上は高性能車、下はコンパクトEV。多様なラインアップで消費者の選択肢を広げる。また、オンライン購入モデルの高度化のために機能の改善を続け、ヒョンデがオンライン購入の王道だという所まで行きたい。 ―日本のEV市場をどう見るか。 先進国であり、一番先進的な自動車市場があるのになぜ電動化が進まないのか。グローバルな11%に比べても低い。韓国もそうだったが、いろいろなハードルがある。 EV市場は国、企業、消費者の意識が一緒にならないと成長しない。今、日本はインフラや制度がまだまだだが、いったん国と企業がやろうということになれば、加速度はものすごい。もうすぐその時期が来ると感じている。 ―それはいつか。 2030年どころじゃなくて、数年後だ。