高校は天文部。マイル侍・佐藤拳太郎が、陸上の日本記録保持者になれた理由
理論派スプリンター
佐藤が第一人者として走り続ける理由は、競技に対する真摯な姿勢。富士通の高平慎士コーチは「本当に日本記録保持者か、と思うほど謙虚」と証言する。 早大大学院スポーツ科学研究科にも通い、2022年度には400mの走りを研究した修士論文を提出。 「自分の経験に頼っていることに限界がきた。400mに全神経を注いで、この種目を学ぼうと思った」 10mごとに速度やストライド、ピッチなどを解析。自らが記録を伸ばす重要区間、200~300mのコーナー区間の動作分析も行い、血肉とした。 「こうやって走りたいというものが築き上げられた。(答えを)出したものは迷いなく行える」 すでに個人ではパリ五輪参加標準記録を突破し、選考会の日本選手権が待つ。リレーでは日本代表は出場枠を獲得。 夢舞台での個人での決勝進出、マイル侍の主将兼エースとしてメダル獲得へ――。理論派スプリンターが出す結論は、花の都のトラックにある。 佐藤拳太郎/Kentaro Sato 1994年11月16日埼玉県所沢市生まれ。城西大学を卒業し、2017年に富士通へ入社。五輪では2016年リオデジャネイロ、2021年東京の男子1600mリレー代表。世界選手権では2015、2017、2019、2023年と同代表。個人では2023年世界選手権で準決勝進出。1m73cm、63kg。趣味は星空鑑賞で「埼玉の山奥で寝転んでいる」。好きな星座はオリオン座。
TEXT=大和弘明