【五輪女子ゴルフ】熾烈をきわめた日本代表選考…米国と韓国が「2強」でも、「笹生優花」「山下美夢有」には期待できる
かつては男子ゴルフの「付け足し」だった?
パリ五輪のゴルフ競技は、すでに男子が終了。女子は8月7日から4日間、男子と同様にパリ南西のル・ゴルフ・ナショナルで開催される。 【写真を見る】「しなやかでキレイなスイング」「やっぱりかわいい」23歳コンビの笹生と山下
競技形式も男子と同様で、4日間72ホールのストローク個人戦でメダルを競い合うのだが、五輪の歴史を遡ってみると、女子ゴルフの立ち位置は、男子ゴルフのそれとは若干異なるものだったことが見て取れる。 ゴルフが五輪競技に加わったのは1900年のパリ五輪からだった。しかし、その際に男子は36ホールのストロークプレー個人戦だったのに対し、女子はわずか9ホールしか行われず、おそらくは「付け足し」のような存在だったのだろうと想像される。 次なる1904年のセントルイス大会では、男子はストロークプレー団体戦とマッチプレー個人戦が行われたが、驚くなかれ、女子ゴルフは行われなかった。 もっとも、当時はゴルフそのものの存在感が薄かったようで、男子のゴルフ競技も、その後の五輪では「エントリー不足」といった理由で行われなくなり、男女とも、そのまま自然消滅してしまった。 しかし、近年はゴルフ人気が高まったこともあり、2016年のリオ五輪で112年ぶりにゴルフが五輪競技として復活。それからは男子ゴルフも女子ゴルフも、まったく同じ形式で開催されるようになり、女子ゴルフでは、リオ五輪で韓国のインビー・パークが、東京五輪で米国のネリー・コルダがそれぞれ金メダルに輝いた。 そしてパリ五輪でも、世界中から選ばれた60名の女子選手が挑み、メダル獲得を狙っている。
目まぐるしかった選考レース
60名の女子選手の選出方法も男子と同様、世界ランキングをベースとした五輪ゴルフランキングの上位者から各国チームの代表選手が選出される。 各チームとも、ランキング15位以内が多数の場合は最大4名までを代表選手とすることができるのだが、前々回のリオ五輪、前回の東京五輪とは異なり、今回のパリ五輪では、4名で構成されるチームが初めて1チームも無い状態となった。 最大数を誇っているのは、米国チームと韓国チームで、どちらも3名構成だ。前回の東京五輪で金メダルを獲得したコルダは米国代表、前々回のリオ五輪で金メダルを獲得したパークは韓国代表だったが、金メダリストを輩出した米国と韓国の2チームだけが今回のパリ五輪で3名構成を誇っていることは、五輪における女子ゴルフの勢力図が、いまなお米国と韓国の2強であることを示していると言えそうである。 とはいえ、各国チームの代表選考レースは、実に目まぐるしいものだった。 韓国チームは、6月下旬に開催されたメジャー大会のKPMG全米女子プロゴルフ選手権で悲願のメジャー初制覇を成し遂げたエイミー・ヤンが、五輪代表選考のデッドラインぎりぎりで韓国代表に滑り込んだ。 日本チームの代表選考も熾烈をきわめ、その激動ぶりは、欧米など世界のゴルフ界からも注目を集めていた。 今年の全米女子オープンを制し、メジャー2勝目を挙げた笹生優花は早い段階で日本代表の座を確定させていた。だが、2つ目の椅子に座りかけていた畑岡奈紗がショップライトLPGAクラシックでボール探しの時間超過による罰打を科され、スコア誤記(過少申告)による失格処分となったことで、2番手には古江彩佳が浮上。 しかし、山下美夢有がKPMG全米女子プロで2位タイに食い込み、最後の最後に古江を上回って、パリ五輪への切符を手に入れるという大逆転のドラマがあった。