<春に挑む・’22センバツ大分舞鶴>軌跡編/下 甲子園を意識 強豪想定し力と技磨く /大分
「甲子園を意識しろ」。九州地区大会の1回戦で、大会準優勝チームの大島(鹿児島)に敗れ、悔しい思いをした大分舞鶴の選手たちは昨年12月、厳しい冷え込みで息が白くなる中、試合形式など実戦練習に打ち込んだ。 例年なら、冬場のオフシーズンは、基本練習の反復に徹するところだが、センバツの21世紀枠九州地区候補校に選ばれ、明確な目標ができていた。実戦感覚を磨くと共に、選手たちの体幹を鍛えるため、股関節を強く、柔らかくするトレーニングを重ねた。 もう一つは、県高野連時代に国体など全国レベルの大会を視察し、強豪校に勝つには「全体的な体力の底上げが重要」と気付いた河室聖司監督の考えからだったが、選手たちも九州地区大会を通じて感じるものがあった。 阿部泰己選手(1年)は大島(鹿児島)のエース大野稼頭央投手(2年)のことを振り返り、「2試合を1人で投げていたが、疲れを感じさせなかった。守備の連係も良くて、同じ公立高校として見習うところがいっぱいあった」と話した。 奥本翼投手(同)は「大野投手の投げる球は直球、変化球とどちらもレベルが違った。自分も追いつかないといけない」と語った。青柳琥太郎捕手(同)は「コントロールが甘くなれば、大島の打者は確実にミートをしてきた。相手の考えを分析し、しっかりリードすることが大切だと思い知らされた」と振り返った。 一方で、大島との試合を通じて手応えをつかんだのが、公式戦の打率がチーム1の4割5分2厘だった都甲陽希選手(同)だ。「長打は狙わず、コンパクトに芯に当てれば、速い球でも自分の思い通りに打てた」と語り、強豪校の投手を想定し、コースに逆らわないバッティングを追求した。 センバツ出場の吉報は、試合や練習を積み重ねて選手自身が考える野球を実践するなかで舞い込んだ。河室監督や安東和樹部長らの指導の下、限られた練習時間でも諦めずに戦えば勝機が訪れること、そして、全国で戦うには、体力を付けて正確なプレーをすることを学んだ。 チームは18日の開幕試合で、甲子園の常連校、浦和学院(埼玉)と対戦する。甲斐京司朗主将(2年)は「甲子園でも一本一本ヒットをつないで、粘り強く戦いたい」と意気込む。夢の大舞台に挑む選手たちは「しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ」の舞鶴魂を胸に旋風を巻き起こすことを誓っている。【辻本知大】