「少年刑務所」受刑者の書いた詩…罪をつぐなって社会に戻る日のために
金色は 空にちりばめられた星 金色は 夜 つばさをひろげ はばたくツル 金色は 高くひびく 鈴の音 ぼくは金色が いちばん好きだ 少年受刑者が書いた実際の詩なのです。色についてなら、書きやすいかもしれません。その中で一番衝撃的だったのは、たった1行の詩。「くも」というタイトルです。 空が青いから白をえらんだのです これは本当に驚きだったようですね。人に傷を負わせているけれど、自分も傷を負っているわけです。生まれたときから育ってきた過程で、いろいろなことを考えるようになっていく、変化が生まれてくる。少年が書いた詩は、『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫、税込み605円)として書籍化されています。 また、その経緯を書いたノンフィクション作品が『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』です。 『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(西日本出版社、2018年、税別1100円) 奈良少年刑務所で行われていた、作家・寮美千子の「物語の教室」。絵本を読み、演じる。詩を作り、声を掛け合う。それだけのことで、世間とコミュニケーションを取れなくて罪を犯してしまった少年たちが、身を守るためにつけていた「心の鎧」を脱ぎ始める。 「罪を犯したのだから隔離しておけばいいじゃないか」という話ではなく、その子たちは社会に必ず戻ってくるのです。そこを考えないと、私たちの社会はうまく維持できないんじゃないかと、読んで思いました。 ■◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリー制作にあたってきた。やまゆり園障害者殺傷事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー最新作『リリアンの揺りかご』は各種プラットホームで有料配信中。
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