「少年刑務所」受刑者の書いた詩…罪をつぐなって社会に戻る日のために
■警察に捕まった時の「詩」 寮:だいぶリラックスして楽しくなって、仲間感ができたところで、ここまでが心の準備体操。ここからは「それじゃあ、宿題で詩を書いてきてね」って言って。そうすると「先生、宿題って何ですか?」聞いたら、小学校にも行かせてもらえなかったから、宿題って言葉も知らないんです。 寮:「上手な詩、いい詩を書かなくてなくていいんだよ、立派なことを書こうと思わなくていいんだよ。もうつぶやきでもいいし、何でもいいんだよ」って言って、一生懸命ハードルを下げて。どうしても書くことがなかったら、好きな色について書いてちょうだいっていうお題を出したの。 寮:でも教官が「書くことなかったら『書くことがない』って書いてきてもいいんだぞ」と言うから、「余計なこと言って!」と私は思って。そうしたら、全員「書くことがない」「わからない」「見つからない」とか書いてきた。「来週は書いてきてね」って言ったら、みんなちょっと「寮先生かわいそう」とか思って、同情して書いてきてくれたの。そうしたら1人だけ「書くことが見つからない第2弾」って書いてきて。おちょくられているのかなと思ったけど、次の時間に突然書いてきたんですよ。「涙」っていう詩で、この子が警察に捕まったときの話を書いたんですね。 「涙」 仕事一本 ガンコな父 名前で呼ばれたことも なかったから 必要以上 会話すらない そんな関係である ある警察官は 僕の父に質問をしました 「子どもを 漢字一文字でたとえると なんですか?」 まっ白な紙に 大きく 大きく 書かれた文字は 「宝」でした そのときぼくは おさえられない なにかを感じました 数秒後には キレイな涙が流れていました 寮:ガーン。いい詩でしょ!? 私はこれを読んで、泣いちゃいました。 グッと来るところがありますね。「キレイな涙が流れていました」なんていう文章を書けるのか、と思いました。 ■「好きな色」についての詩 「好きな色について書いてきてもいいんだよ」と呼びかけた寮さん。「金色」と書いた少年がいます。