アマチュア無線機のアイコムが60周年、主力工場を公開 5Gゲートウェイで業務効率化
アイコムは16日、設立60周年を迎えた。この節目に合わせて同日、主力の有田工場(和歌山県有田川町)を報道陣に公開。工場内では、同社製5Gゲートウェイを活用した生産の効率化につながるシステムを稼働しており、業務の効率化につなげている。 【関連写真】出荷場に設置したカメラで雨の状況をリアルタイムに確認 有田工場は1988年に設立。アマチュア無線機などの生産工場としてスタートし、業務用無線機、IP無線機と生産と業容を順次拡大してきた。近隣の紀の川工場(和歌山県紀の川市)と合わせ、全製品を2工場で生産している。160機種ほどの無線機を作り、世界100カ国以上に輸出、国内にも出荷している。 有田工場では生産ラインの一部を完全ロボット化するなど、スマートファクトリー化を進めている。同時に、5Gを活用した生産管理システムなどを構築。携帯キャリアが提供する5Gに対応したゲートウェイ「IP50G」を昨年12月に発売したが、工場内ではこの端末を活用し業務効率の改善につながる3つのシステムを稼働させている。 1つはピッキング台車のサーバー接続ネットワークとしての活用。ピッキング台車で読み取ったデータは本社サーバーへWi-Fi経由で送信していたが、工場内の無線LANとの干渉で通信が不安定だった。この通信をIP50G経由で送信することで、安定通信を実現した。 2つめは大雨センサーと5Gを連携させた監視システム。環境センサーと監視カメラを組み合わせることで、大雨の接近を作業員が察知することを可能にした。工場内に2カ所ある出荷場に温度、湿度、気圧を計測できるセンサーとカメラを設置。IP50Gと連携させることで、映像を通じてリアルタイムに外の状況を監視することが可能。事前に雨の状況を予測することで出荷時の荷物の雨濡れを防ぐことができるようになった。 3つめは映像と人工知能(AI)処理による作業分析システム。IP50Gとウェブカメラを組み合わせたシステムで、作業映像をAIで分析。作業工具の最適化や作業員のスキルの平準化などにつなげた。 今後はこれらのシステムを外部に販売していく方針だ。
電波新聞社 報道本部