“羽生善治とパス交換”元サッカー日本代表FWが「“詰め将棋”でゴールの戦術眼トレ」、渡辺明は4級審判員…一流棋士・選手とも夢中な共通点
トルシエに“詰め将棋”を勧めたかったワケ
あるスポーツ紙に「詰め将棋を新たな引き出しに」という見出しの記事が載った。筆者はスポーツジャーナリストの二宮清純。将棋を愛好する二宮は、得点力不足に悩んでいるサッカー日本代表の監督(当時はフィリップ・トルシエ)には詰め将棋に目を向けてほしいと提言した。それは論理的思考で玉を詰めることが、得点に至るプロセスでもあるという。 「トルシエがまだ使ったことのない新しい引き出しに、手をかけるきっかけになると思う」 こうも語った。 二宮は90年代前半にラグビー神戸製鋼の祝勝会で、羽生善治九段と会う機会が何回もあった。主力選手の平尾誠二は共通の知人だった。「羽生さんの印象は話していると普通ですが、既成概念を打ち破る天才棋士独特の雰囲気が漂っていて、宇宙人に見えましたね(笑)」とも語っていたことがある。 2002年に日韓W杯が開催され、日本は予選リーグを勝ち抜いて決勝トーナメントに進出した。その1回戦で日本はトルコと対戦した。競技場は宮城県だったが、東京・千駄ヶ谷の周辺に多くのサッカーファンが集まって歩き回っていた。しかも鼻骨骨折によって顔面を保護するフェイスガードを付けて試合に出た宮本恒靖(現日本サッカー協会会長)を応援するためか、同じ格好の人が多く、今思えば異様な雰囲気だった。試合は日本が0ー1でトルコに敗れた。
名鑑に“将棋が趣味”と記した日本代表って?
毎年春にスポーツ紙に載るJリーグ選手名鑑を見て、趣味欄が将棋という選手は何人かいた。 元日本代表FW北嶋秀朗(柏レイソルなど)は、ストライカーとしてゴールの戦術眼を鍛えるために、詰め将棋を解くなどイメージトレーニングで将棋を取り入れていた。私は『将棋世界』編集長だった2001年、羽生五冠と北嶋の対談を企画し、柏の本拠地の競技場を一緒に訪れた。羽生は小学生の頃に漫画『キャプテン翼』を読んで興味を持ち、学校で毎日のようにサッカーをして遊んだそうだ。 北嶋はディフェンスラインからゴールまでの流れを想定し、このケースでは右足にボールがほしいなど、練習でほかの選手たちと話し合うという。羽生は将棋でも各駒の連係が大事だと語った。対談と記念対局の後、羽生はピッチに出て久しぶりにボールを蹴って北嶋とパス交換した。羽生が「ゴールの間の距離はテレビで見るより近いですね」と言うと、北嶋は「調子が悪いときはキーパーが大きく見えます」と苦笑した。
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