【少子化の悪循環】「子どもが欲しい」35歳過ぎると急減、望まない理由トップは経済的負担― 日本財団少子化調査
合計特殊出生率が1966年の丙午(ひのえうま)を下回った1990年の「1.57ショック」から30年以上。この間、政府は何度となく少子化対策を打ち出しているが、解決に向かうどころかますます深刻化している。日本財団が2024年9月、全国の15-45歳の6000人を対象に実施した少子化に関する意識調査の結果を紹介する。
日本財団が全国の15-45歳の6000人を対象に実施した少子化に関する意識調査で、子どもがいない人4431人のうち「子どもが欲しい=Yes」37%、「欲しくない・いなくてもよい=No」36%とほぼ同率。 性年代別は、女性・男性とも若年層ほど「Yes」の割合が高い。26-35歳では女性の方が「Yes」の割合が高いが、36-45歳では男性の方が高く、女性36-45歳では「No」が5割を超える。雇用形態別では、正規雇用では「Yes」が4割強だが、非正規雇用では「No」が4割強を占める。
子どもが欲しいと考えている人のうち、いわゆる妊活をしている人は14%。
子どもが「欲しくない・いなくてもよい」1548人にその理由を聞いたところ、「経済的な負担が大きい」43%が最多。「自由な時間を優先したい」37%、「出産・育児に自信がない」35%、「子どものしつけなどストレスが増えそう」35%が続いた。
子どもが「欲しくない・いなくてもよい」1580人のうち、「(子どもを取り巻く)将来の社会が不安」と回答した314人に、「不安」の具体的内容を聞いた。「財政悪化、医療・年金崩壊」65%が最も多く、以下「人口減少による労働力の低下」56%、「経済競争力の低下」48%と続く。人口減少による経済・社会のパワーダウン懸念が、さらなる人口減少につながる悪循環ともいえる。
「子どもが欲しい」1650人の理由としては、「子育ての喜びを経験したい」50%が突出し、「将来の社会の支えになる」22%が続いた。「親や親戚の期待に応えたい」17%、「家系家族の存続」16%など、家制度を意識した回答も一定程度あった。