ウエルシアがアマゾンとタッグを組んでオンラインによる処方薬の販売を開始…ドラッグストアのさらなる淘汰と再編の契機となるか?
成熟した業界で革新的なビジネスを展開するコスモス薬品
8月5日の時点で、マツキヨココカラの時価総額は8000億円を超えているが、ウエルシアは4000億円に届いていない。この時価総額を軸に2社を比較することがあるが、それはあまり意味をなさない。 時価総額はマツキヨココカラのように純資産に厚みがあり、自己資本比率が70%と高い会社であれば、必然的に大きくなりがちだ。 それを裏付ける便利な指標が、株価と純資産の比率を示すPBRだ。株価を1株当たりの純資産で除して求めるもので、特定の株価が割安か割高か判断するのに使われる。ウエルシアもマツキヨココカラも1.6倍程度で、大きな差はない。 マツキヨココカラは営業利益率が高い割に、投資家からはウエルシアと同等だと評価されていると見ることもできるのだ。しかし、ウエルシアとほぼ変わらない利益率であるにも関わらず、PBRが2.3倍と高評価の会社がある。コスモス薬品だ。 コスモス薬品は徹底的な低価格路線を打ち出し、業界の勢力図を塗り替えている存在だ。2024年5月期は139店舗を出店。もともと九州に強みを持っていたが、関東エリアに50店舗を新規出店した。関東の合計店舗数は148になった。 さらに、コスモス薬品は食品の比率が6割程度と高く、2割のウエルシアとはビジネスモデルが大きく異なる。コスモス薬品はスーパーなどの食品販売市場を奪って成長しているのだ。PBRが高いということは、投資家から成長余地がまだまだあると見られているのだろう。 今後、調剤部門を強化していたウエルシアは、オンラインによる処方薬の販売で競合他社にサービス面で差をつけられるのは間違いない。オンライン化の普及に伴ってじわじわと効いてくるだろう。 取材・文/不破聡 写真/shutterstock
不破聡