「育休のブランクを取り戻さないと」焦る女性社員が見つけた「新しいキャリア」 やる気になった原因は会社のある「態度」だった
日本生命の賃金格差は、男性社員の賃金を100とした場合、女性は38・8。格差を生む背景の一つが、女性管理職の少なさだ。対策として、日本生命は管理職2年目の女性社員を対象として年3回、役員が「メンター」になってキャリア形成を支援する面談を2015年に導入している。 面談をはじめ、会社が女性社員向けの施策を充実させていることを、太田原さんはこう受け止めた。「『投資するだけの価値がある』との会社からのメッセージ」。励みになっているという。 現在は課長相当職として、首都圏の法人営業を担当している。保育園のお迎えのため定時で帰宅する毎日だが、「このような働き方もあると一つのロールモデルとして後輩たちに見せていきたい」。 ▽35%の企業が女性登用の遅れを認識 日本の企業は、自社の女性幹部登用状況をどう認識しているのだろうか。共同通信が昨年11~12月に主要113社にアンケートをしたところ、登用が遅れていると感じている企業が多かった。各企業に自己評価を尋ねたところ「やや遅れている」が25%、「とても遅れている」が10%で、計35%の企業が遅れを認識。幹部登用が先行していると答えたのは計23%にとどまり、取り組み不足を自覚する企業が多数派となった。「どちらでもない」は35%だった。
有価証券報告書などの資料から集計すると、アンケート回答企業の女性管理職比率の平均は11%。「遅れを認識している」と回答した企業の平均ではわずか5%。政府が30%を目標に掲げてきたことと比較すると、隔たりの大きさが際立つ。業種別に見ると、遅れを気にする企業は自動車や電機、素材メーカーに目立った。 ▽6割超の企業が女性管理職が育つ環境の整備に注力 アンケートでは、女性社員が活躍できる施策についても複数回答で尋ねた。最多は「育児休業・育児休暇の取得促進」で、96%の回答を集めた。「在宅勤務・フレックスタイム制の充実化」と「長時間労働慣行の是正」が88%で続いた。「女性幹部育成プログラム・メンター制度の導入」など、女性管理職が育つ環境の整備に注力する企業も6割を超えた。 時短勤務に切り替えたり、育休を取得したりすることで、「戦力外」と見なされキャリアアップが遅れるという懸念もある。食品大手の明治は昇格に必要な経過年数について「育児休業や介護休業の取得期間を差し引かない」よう社内規定を改正したという。