バイデン米政権がウクライナの長距離兵器使用を容認、なぜ今なのか?
バイデン米政権は、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを許可した。米政府当局者や関係者が17日に明らかにした。ウクライナの対ロシア攻撃を巡る大きな方針転換となる。関係筋によると今回の方針転換は、主に北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受けた対応という。またロシア軍が攻勢を強める中、ウクライナ軍を下支えし、仮にトランプ次期政権下で停戦交渉が始まった場合でも、ウクライナ側が少しでも有利な立場に立てるようにする狙いがあるとみられる。 映像は、射程距離約320キロの地対地ミサイル「ATACMS」。関係者の話では、ウクライナはこの「ATACMS」でロシア領内を数日以内に攻撃する可能性がある。 今回の決定は、ウクライナの対ロシア攻撃を巡る大きな方針転換となる。長距離兵器のロシア領内への使用を巡ってはウクライナのゼレンスキー大統領が許可を求めてきたが、米国は認めていなかった。同大統領は17日、ミサイルについて「それ自体が語るだろう」と述べた。 ロシアは米製兵器使用の制限が緩和されれば、重大なエスカレーションと見なすと警告している。タス通信によれば、ロシアの議員からは米国の決定が「第3次世界大戦」につながる可能性があるという声も上がっている。 関係筋によると今回の方針転換は、主に北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受けた対応という。 一方、トランプ次期大統領が約2カ月後に就任する。トランプ氏がバイデン氏の決定を覆すかどうかは明らかではない。 しかしトランプ氏は以前から、ウクライナに対する米国の支援の規模を批判するとともに、ウクライナ戦争を早期に終わらせると宣言している。 一部の米当局者は、今回の方針転換でも戦況を大きく変えることにはならないとみている。だがロシア軍が攻勢を強める中、ウクライナ軍を下支えする可能性はある。その結果、仮に停戦交渉が始まった場合、ウクライナ側がより有利な立場に立てる可能性がある。 ホワイトハウスと米国務省はコメントを控えた。またトランプ氏の広報担当者は、コメント要請に直ちに応じなかった。