低所得世帯の中3・高3は「模試費用」や「大学受験料」が補助 しかし「所得で分けるのは不公平」の声も?
こども家庭庁は、受験生の子どもがいる低所得世帯に、模擬試験の費用や大学受験料の補助を行うことを発表しました。家庭の経済状況に関わらず進学の機会を確保することを目的にしていますが、この施策には世間からさまざまな意見が寄せられています。 本記事では、施策の背景や詳細、世間の反応について解説します。
中3と高3の子どもがいる低所得世帯への補助
こども家庭庁は、中学3年生と高校3年生の子どもがいる低所得世帯に補助を行うことを明らかにしました。中学3年生には模擬試験費用を、高校3年生には大学受験費用の約5万円と模擬試験費用を補助し、家庭の経済状況に関わらず進学の機会を確保することを目的としています。なお、開始は2024年度を予定しています。
低所得世帯ほど進学率が低い
2009年の東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センターの発表によると、親の年収が子どもの高校卒業後の進路に大きく関わることが分かっています。 高校卒業後に就職する割合は親の年収200万円以下が35.9%と最も高く、年収が上がるにつれて下がっていき、年収1200万円以上では5.4%になります。また、専門学校への進学率も同じく年収200万円以下が最も高く、年収が上がるにつれて下がっていきます。 一方、4年制大学への進学率は年収1200万円以下が62.8%と最も高く、年収が低くなるにつれて下がっていき、年収200万円以下では28.2%です。
複数受験や宿泊を伴う受験で家計負担増
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、大学受験にかかる費用は、大学入学共通テストが3教科以上受験する場合で1万8000円、国公立大学の2次試験が1万7000円、私立大学が3万円から3万5000円ほどとなっています。複数受験する場合や宿泊を伴う受験の場合も考慮に入れると、かなり家計の負担になります。 家計が厳しく浪人や複数受験ができない場合は、受験に失敗したら進学をあきらめて就職というのが現実です。このような実態も低所得世帯の進学率を下げる要因になっています。