広告宣伝ゼロでも化粧品「SHIRO」が圧倒的な支持を得るなぜ、OEMを経験したからこそ突き詰めたい“本質”
現在、会長を務める今井浩恵さんは、2000年、26歳の若さでローレルの社長に就いた。その後、2009年に自社のコスメブランド「LAUREL」を立ち上げ、2011年には、スキンケアの「sozai LAUREL」を起こして人気を集めた。 そして「自分たちが本当に使いたいものを作る」という意志を携え、2014年にOEM事業から撤退し、2015年に「LAUREL」を「shiro」へ転換。福永さんは2021年、代表取締役に就任し、今井さんと二人三脚でシロを率いてきたのだ。
そういった経緯もあり、「自分たちのブランドを興す時は、OEMをやってきた中で、納得できなかったことはやらないと決めたのです」(福永さん)。 では、どのようなもの作りをしているのか――「思いっきりプロダクトアウトです」と福永さん。本当に自分たちが作りたいものは何かと考え、今井さんの生まれ故郷である北海道の素材、函館市で採れる「がごめ昆布」に出会った。フコイダンという粘性多糖類が豊富で、優れた保水力を持っている。
これを使った製品を開発しようと、工業技術センターなどと研究開発を重ね、化粧水、バスパック、石鹸を開発した。「生産者さんと一緒に、自然が育んだ素材の恵みを活かしたもの作りに徹することにしました」(福永さん)。 ■出店も「自分たちが納得のいくところ」 その精神は、売り場や接客でも貫かれている。売り場は、自分たちが納得のいくところにこだわってきた。SHIROは今でこそ人気ブランドとして、いい売り場を確保できるが、最初からそうだったわけではない。
例えば商業施設などで希望の場所ではない売り場をオファーされた場合は断るなど、“一等地”に照準を定めてきた。また、卸売りは行わずに直営店のみ、販売員はSHIROの意志を伝えるために自社から出すことにしている。 販売促進についても、化粧品ブランドの中には、原価の2~3割を割いているケースもあるが、SHIROは広告宣伝を行っていない。その分、製品にかけたほうが健全と考えてのことだ。 福永さんはまた、「うちには売り上げ計画が存在しないし、社員に対して今年の売り上げ目標を掲げることもしていません」という。売り上げありきではなく、どれだけ多くの客から支持を得ているか、満足してもらっているか――社員に向け、そこを徹底して伝え続け、実践することが大事ととらえている。