コロナ禍ド真ん中世代バンド・EOWの“世界進出” NYでの『エンタメ修行』で見出した『音楽の意味』
■現地ミュージシャンとの邂逅で気づいた“バンドスタイル”
――現地のミュージシャンとセッションを行った際、日本と違う感覚はありましたか? 【Tomoaki】個人的には、セッションの雰囲気も演奏技術もそこまで変わらないなと。ただ、1個だけ違うかもと思ったのは、言い方が難しいんですけど…「適当さ」でした。例えば、原曲がある曲でセッションするときも自分流でやる人が多かったんです。それこそコード進行から全然違うものにしてくることもあって(笑)。 【Laco】私はオープンマイクでバンドと一緒にやらせてもらったんですが、そこで今まではただ歌っていただけだったんだと感じました。もちろん、ボーカルも1つの楽器としてグルーヴを作る要素だってわかっているつもりだったんですけど、私はただ“前”にいただけだった。 ――“前”とは? 【Laco】ボーカルって例えばステージ上の位置や音源の定位とかでは一番前にいる存在じゃないですか。だけど、グルーヴという点で言えば“ド真ん中”にいるべきなんだなと。現地のミュージシャンの方から「ベースの音を聞いた方がいいよ」とアドバイスをいただいて、そこにあまり気づけていなかったんだなとも思いました。 【Tomoaki】 “ボーカル込みのバンド”という構図だったんですよね。ボーカルに触発されてギターソロが入ったり、ベースのグリスにボーカルが乗っかって変化したり…。そういう一体感を強く感じました。 【Laco】その経験を通して、帰国後のライブが大きく変わりました。いろいろな音が自然と聞こえてくるようになり、よりライブが楽しくなりましたね。 ――ニューヨークにはメインギターを持参していったようですね。 【Tomoaki】はい。2020年にフェンダーが30本限定で発売した、ブラックペイズリー柄のストラトキャスターです。僕は昔から好きなギタリストが使っているギターを買いがちで、ストラトもジョン・メイヤーの影響でずっとほしいと思っていました。 ――音色もバンドにマッチすると判断したんですか? 【Tomoaki】正直、バンドに合うと思えたのは最近です。「合わせられるようになった」と言うのが正しいのかな。買った当時はうれしくて使っていたんですけど、ギターの研究が全然足りていなかったんですよね。なので、その後いろいろなギターを使って試行錯誤していた時期があり、このストラトをメインに戻したのは去年くらいです。 ――王道のモデルだからこそ難しい? 【Tomoaki】出せる音がすごく多いので、自分の出したい音が定まっていないと扱いきれないギターだなと思います。最近はそういったビジョンが徐々にまとまってきたんですよ。あんまり言葉にしたことがないんですけど、「誰よりもファンキーで、誰よりもロック」が僕のテーマなんです。