新型日産ノート・オーラは、上質だけどお買い得! 和製プレミアムコンパクトハッチの実力に迫る
懐の深い足まわり
試乗した印象についていえば、記憶のなかにあるノート・オーラとほぼおなじで、コンパクトカーとしては出色の出来だと思う。 まずはボディがしっかりとしていて、これを土台としてサスペンションが素直にストロークする感触が味わえる。乗り心地としてはソフトめで快適。かといって高速域でも不快なピッチングを起こしたりしない、なかなか懐の深い足まわりだ。 ちょっと気になったのは、“ゴトゴトゴト”という速い周期の振動を吸収しきれずに、そのまま伝えてしまう点。これだけは、以前試乗したノート・オーラでは経験しなかったことのような気がする。 シリーズ・ハイブリッド方式の別称である「e-POWER」は、その名と対照的に決してパワフルではないけれど、まずまず静かで滑らか。とりわけ、エンジンがかかったときとかかっていないときの、騒音レベルの差が小さいことを高く評価したい。しかも、これを3気筒で実現しているのだから立派。最近デビューした某国産プレミアムブランドの3気筒ハイブリッド車より、こちらのほうが高級に感じられるといったら言い過ぎだろうか。 いっぽうで、フルスロットルにしたときのエンジン音は、初期型よりもちょっとだけ大きいような気がした。ただし、これも“そんな気がした”だけで、絶対的な音量に関していえば合格点を与えられる範囲である。 いずれにせよ、Bセグメントのコンパクトカーで、これだけ“上質感”の強いモデルは珍しい。前輪駆動であれば全グレードが200万円台で手に入ることを含め、なかなかのお買い得モデルであるのは間違いない。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)