「恥さらし」と罵倒された毒母に「恨みはしたけど嫌いになれない」中武佳奈子 今は亡きステージママへの恩と感謝
■仲直りせず逝った母「謝りたかったし、感謝を伝えたかった」 ── 佳奈子さんが自分と向き合い、お母さんとの関係も客観的にみつめていらっしゃることがわかります。現在の親子関係が気になるのですが、歩み寄ることはできたのでしょうか? 中武さん:母はコロナの第一波のときに亡くなりました。もともと持病があり、体力がもたなかったようです。ですから、和解はできませんでした。数年前に「電気代の3600円を貸してほしい」と電話をして断られたのが、最後のやりとりになってしまいました。
── つらいことを思い出させてしまい、ごめんなさい。最後にお母さんに伝えたかった言葉はありますか? 中武さん:勝手に芸能界をやめてしまって「ごめんね」と謝りたいです。あとは、やっぱり、ちゃんと目を見て「ありがとう」と伝えたかったなと。 ──「ありがとう」には、どういう思いが込められているのでしょう。 中武さん:2つあります。ひとつは子どものころ、芸能活動を支えてくれて「ありがとう」。もうひとつは、私に救いの手を差し伸べなかったことです。当時は、それを恨めしく思っていたけれど、もしもあのとき助けられていたら、きっと私はまた中途半端な生き方をしていたかもしれません。親が突き放してくれたから、自分の人生と本気で向き合うことができたんじゃないかと思うんです。そういう意味での「ありがとう」です。
PROFILE 中武佳奈子さん なかたけ・かなこ。1982年、大分県生まれ。1988年から放送された人気番組『あっぱれさんま大先生』の出演メンバーの第一期生としてブレイク。その後も、ドラマやバラエティー番組、CMなどで活躍。28歳で芸能界を引退。現在は、YouTubeチャンネルで活動中。 取材・文/西尾英子 写真提供/中武佳奈子
西尾英子