ヤングケアラー経験者・町亞聖 介護に必要な“受援力”とは?「周囲の大人が“この人なら話してもいい”って思わせることも大事」
山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。11月7日(木)の放送は、ゲストにフリーアナウンサーの町亞聖(まち・あせい)さんが登場。10月に発売された著書「受援力」(法研)を出版した経緯などについて伺いました。
◆ヤングケアラーの厳しい現状
れなち:今回「受援力」という本を出版されましたが、ご自身がヤングケアラーだったんですよね? 町:はい。高校3年生(18歳)のときに母が病気で倒れて車椅子生活になったんですけど、当時は私のほかに中学3年生の弟と小学6年生の妹がいたんですね。それで、私が母に代わってすべてやらなきゃいけない状況になって。 れなち:お父さまに頼れる状況でもなかったのでしょうか? 町:父は家のことを何もやらない人で、それは母が倒れても変わらなかったです。 れなち:そうした経験を書籍にまとめようと思ったのはなぜですか? 町:私は今も人を頼るのが苦手で、やっぱり(ヤングケアラーだった)環境のなかで何でも1人でやってきてしまったから。私もはじめから強かったわけではなくて、友達と同じような青春時代を過ごせなかったり、(やりたいことがあるのに)できないことがたくさんあって。いっぱい泣いたし悔しい思いをしましたけど、そこで歯を食いしばって頑張っちゃったんです。 両親の介護が終わった後、そんな過去を振り返りながら自分自身を反省したときに、“今も(みんなも誰かに)頼れていない人が多いな”と思って。それで“切羽詰まる前に誰かを頼ることは大事”ということ、そして、自分自身ができていなかったことも含めて“受援力”という言葉を皆さんに知ってもらいたいと思ってまとめました。
◆ヤングケアラーは注意深く見ていれば気づくはず
れなち:大人側でも、身近にヤングケアラーの方がいることに気付けない場合もあったりするじゃないですか。何をポイントにして見ていくと“もしかして……?”って思えますか? 町:でもやっぱり、注意深く見ていれば気づくと思います。例えば、学校の先生であれば、忘れ物をする、宿題ができていない、そんな生徒がいたら、その裏側には、もしかしたら家庭の事情があるかもしれない。そういうアンテナを立てていたら“あれ?”って思うはずなんですね。 そして、気づいたら声をかけてほしいです。子どもはうまく言語化できないし、(相談するとなると)我が家が抱える問題を話すことになるので、“親のダメなところを言うことになる”とか“周りに気を遣わせてしまう”みたいな思いがあふれて、「相談したくてもできない」っていう状態になっていると思いますが、本人としては“話を聞いてほしい”と思っているはずなので、先生方には扉をノックするようなことをしてほしいです。 れなち:(ヤングケアラー時代の町さんは)ご自身で何かサインを出されましたか? 町:もしヤングケアラーの支援制度があったとしても、きっと“私はちゃんとできているので大丈夫です!”って強がっていたと思います。でも、これは絶対にダメなんです。 れなち:そこでまた孤立しちゃいますものね。 町:そうですね。あと周囲の大人が“この人なら話してもいい”って思わせることも大事だと思います。そうした人が1人でもいれば救われることもあると思うので。 (TOKYO FM「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」2024年11月7日(木)放送より)