甘味処なのにラーメンがウマすぎる! 新井薬師の甘味処『富士見野』の「餅入りラーメン」が美味しい理由【東京レトロラーメン探訪】
上品な醤油色のスープに刻みネギがたっぷり浮かび、焦げ目がついたお餅が4つ浮かんでいます。チャーシューは重みがあるせいか、スープの下に沈没しています。数えてみると5枚ほどありました。他に三つ葉、海苔、ナルトという、昔ながらのシンプルながら嬉しいトッピング。 まずスープを飲んでみると……それはそれは優しい鶏ガラベースのお出汁の香り。トガった醤油感もなければ、脂の強い主張もなく、スーッと体全体に染み渡っていくような感じです。
麺は、中細のストレート麺。スープが麺にからみ、つるつると喉越しも良く、ウマいことこの上なし。「しみじみ美味しい」という言葉がしっくりくる、春の海のような穏やかな味わいです。 そして、気になっていたお餅も味わってみます。餅が入ったラーメンというのは初めてです。しかもこのお餅、自家製の杵つき餅で、注文が入るたびに焼くというこだわりよう。さきほどまでは表面がカリッとしていたお餅が、スープに浸って、とろんとしてきました。美味しそう!
この甘味処のこだわりが詰まったお餅、予想はしていましたが、とてつもなく秀逸です。優しい味わいのスープと相まって、思わず天を仰ぎたくなる美味しさ。表面の焼き目が香ばしく、びよ~んとのびる餅の柔らかさとなめらかさが実に素晴らしい。噛むたびに感動してしまいます。
さらに、Mさんのお薦めのチャーシューも最高でした。脂のとろんとした感じと、中心のしっかり歯ごたえのあるお肉部分のコントラストが絶妙。しっかり肉の旨味を感じることができます。 スープも麺も、お餅もチャーシューも、すべてがパーフェクト!
よく “昔ながらの中華そば”という表現を見かけますが、『富士見野』の場合、“昔ながらの丁寧な仕事を手抜かりなくほどこした極上の中華そば”と言えるかもしれません。甘味処がさりげなく当たり前のように美味しいラーメンを出すのが粋ですよね。 ここ数年、話題になるラーメンといえば、全体的に味が強めで、ビジュアル的にもグイグイくるものが多いですが、正直、そういうラーメンに少し疲れていた筆者は、「こういう実直なラーメンがいいんだよなぁ」と改めて実感しました。