最終日、早朝に首位だった中野麟太朗は惜しくも3位でマスターズを逃す【アジアパシフィックアマチュア選手権・最終日】
16番はともにパーとしたものの、17番でディンが最高のショットをみせ、バーディを奪い、3打差となり、万事休す。 最終18番、アルバトロスでなければ追いつけないが、2オンが可能なホールだけに不可能ではなく、諦めていない中野はドライバーを振り切り、残り約220ヤード地点の下り傾斜のラフまで持ってくる。ライン出しのように低い球で打ったアイアンショットはピンと同じ面までいったが、無情にも入ることなく、ピン左サイドに。対するディンはレイアップしたサードショットがグリーン奥ギリギリに。2ラウンド目からここまで、3パットが一度もないディンがボギーとなる可能性は限りなく低いが、それでもイーグルパットを沈めてディンにプレッシャーを掛けたい中野だったが、惜しくも入らずバーディで終戦。ディンは危なげなく2パットのパーとし、長い二人のデッドヒートに幕が下りた。
「優勝したウェニー選手との技術的な差はそれほど感じてはいませんが、世界アマランク4位に位置するということは、大きな大会に勝ってきているということ。その経験の差が出てしまったのかもしれません」とは中野の言葉だが、2日目から中野とディンの全ストロークを見てきた筆者も同じように感じる。ディンの3パットを一度も見ていないどころか、2日目以降のボギーは最終ラウンドでアンラッキーな11番のみ。それがなければもう1打は伸びていたのは確実だ。とはいえ、「たられば」を言っても仕方ないが、何度も中野のパッティングがカップに蹴られているのも見ているだけに、それが決まっていればディンと同じスコアが出ていたのも事実だ。
最後に「最終ラウンドの10番あたりから顔つきが変わったように見え、それ以降3連続バーディを含む猛攻になった。何かスイッチみたいなものはあったのか?」と聞くと、「顔つきが変わって見えたのは、たぶん気持ちが入ったからだと思います。ウェニー選手の9番のチップインで『あれが入るのか!?』って。そこでより一層負けたくない気持ちが強くなり、『まだまだここから。やってやる!』となったので。追い込まれないとダメなタイプなので、そこは課題ですね」とのこと。