【解説】「新卒3年目の娘、ほとんど貯蓄しておらず心配です」若者世代の資産運用と貯蓄事情
2024年4月、金融庁から金融経済教育推進機構の設立について正式に公表されました。 【写真でみる】20歳代・30歳代、どれだけ貯蓄できている? 年齢別・資産運用の利用状況をあわせて一覧表でチェック 国民に対して金融リテラシー向上のための「学びの場」がより多く提供されることを目指し、家計や資産形成の相談に乗るアドバイザーを設置予定とのことです。 安定した収入を得て間もなくの20歳代など、自分でお金を稼ぐようになって数年しか経っていない若者も、お金の悩みを抱えているようです。 友人たちと「老後のお金が心配だね」「老後資金が全然貯まらない」と話す姿。昔であれば少し違和感を抱くような光景が日常的に行われています。 本記事では、若者の資産形成の状況を確認した上で、老後資金を形成することではやくから得られる利点を考えていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
若者の「〇〇離れ」が進行中…不安になった若者は資産形成を検討
現代の若者の財布の紐は硬く、節約志向にあります。このことは、ファッション1つとっても明らかです。 独身女性がハイブランドや百貨店で取り扱っているようなアパレルブランドのメイン顧客であった時代もあります。 しかし今では、東京都・銀座にもプチプラ価格のお店が進出しているほど。リーズナブルな洋服やおしゃれな雑貨が未婚、既婚問わず若年層の間で人気だといえるでしょう。 高齢者の貧困問題や年金世代の経済苦がメディアで取り上げられる機会は多く、将来を心配するのも仕方ないことかもしれません。 次の章からは、そんな若者が検討している「資産形成」の利用状況についてチェックしていきましょう。
20歳代・30歳代でNISA、iDeCoに加入している人の割合は?
近年、資産形成の方法として「NISA」と「iDeCo」が注目されています。 普通預金は利率が低く、お金が増えにくいため、資産を賢く形成しようという人が増えているためです。 ここで、NISAとiDeCoの違いを簡単におさらいしておきましょう。 NISAとiDeCoは税制面で優遇を受けながら積み立て投資を行える制度。少額の掛金を毎月運用し、低リスクで長期的に資産形成を行えます。 ただし、この2つの制度において資産運用の目的が上記のように異なります。 ●「つみたてNISA」利用者の割合:最近の若者はNISAに加入しているの? 金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」(2023年9月末時点)を参照し、年代別のつみたてNISAの加入者の割合を見てみましょう。 つみたてNISAに加入している人がもっとも多い年代は30歳代、次いで40歳代でした。 NISAはお金のつかい道の自由度が高く、住宅ローンの頭金や車の購入費、教育費など様々な出費を目前に控える30歳代、40歳代の加入者が増えた傾向が見受けられます。 また、この年代は収入が安定してくる傾向にあるため、資産形成にまわす余剰資金も出てくるのでしょう。 一方、調査時点でつみたてNISAに加入していた20歳代は全体の2割程度でした。 この数値を多いと考えるか少ないと考えるかは人それぞれです。しかし筆者は、20歳代のNISAの加入率は比較的高いといえるのではないかと思います。 四年制大学の進学率が半数を超える現在、20歳代前半は就学期間ともいえるでしょう。 大学院進学や留学をする人や、諸事情などによって浪人や留年をする人も少なくないことを考慮すると、社会人になっていない20歳代は多いと思われます。 ●【年代別】iDeCoに加入している人の割合をチェック あわせて、iDeCoに加入している人の割合を年代別に見ていきましょう。 運営管理機関連絡協議会は、公表している「確定拠出年金統計資料 (2023年3月末)」にてiDeCoの年代別加入者割合を明らかにしています。 40~49歳の加入率がもっとも高く、50~59歳が続いています。iDeCoは老後の資産形成を行える制度のため、ミドル層の加入者が多い傾向にあります。 一方、20~29歳の加入者の割合は18.0%、30~39歳については24.4%と決して少ない割合ではありません。 この時点から、若者の資産形成への意識の高まりが見て取れるでしょう。 次の章では、若者(20歳代・30歳代)が資産運用を行う理由を深堀りしていきます。