V2中谷潤人「統一戦を次にでも。チャンピオンであれば誰でも」圧倒的KO劇で4団体統一へ加速
<プロボクシング:WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇14日◇東京・有明アリーナ プロボクシング3階級制覇王者でWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(26=M・T)が2度目の防衛に成功した。同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ(30=タイ)から2度のダウンを奪い、6回2分59秒TKO勝ち。29戦全勝(22KO)と圧倒的な力を見せた。前日13日には、WBA世界同級王者の井上拓真が王座陥落。互いに実現を熱望していた統一戦は幻となった。標的は変わったが、日本人が4団体を独占するバンタム級統一を目指す。 ◇ ◇ ◇ 左右は違えど、中谷の強さは不変だった。約5年4カ月ぶりのサウスポー同士の対決。互いに右足を前に、距離感をはかる。6回1分30秒に左のカウンター。ひるんだところに、右、左と交互に10発を浴びせた。再び立ち上がった相手にも容赦なし。残り7秒、左のストレートでうずくまらせてゴング。「世界戦でKOする機会が増えてきた」と笑った。 王座を守るため、食生活を変えた。同級では長身の173センチで、最大の敵は減量。試合のたびに悩まされた。今回から主食をパンから米に変更。体質を改善し、スムーズに身を軽くした。計量後は、おにぎりやオムライスでパワーアップ。「期待を上回るのが僕の仕事」。その言葉通りに進化した。 標的がなくなってもブレなかった。4人の日本人王者が占拠するバンタム級戦線。その統一戦の最初のターゲットとしていた井上が敗戦。「昨日の試合を見てない」と自分の試合に集中。「統一戦を次にでもやりたい。チャンピオンであれば誰でも」と歓迎した。 その先に変わらぬ「PFP1位」の夢がある。創刊100年以上の歴史を誇る米老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じた最強ボクサー)で9位からトップを目指す。7月に井上尚弥らと同じ米プロモート大手トップランク社と契約。当初は今秋に、23年5月以来の米国マッチのプランも浮上していた。今回は見送られたが「来年にまたチャンスがある」。描くのは、米ロサンゼルスにあるクリプト・ドットコム・アリーナ(約2万人収容)での防衛戦。V2に成功し、夢に1歩近づいた。【飯岡大暉】 ◆中谷潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日生まれ、三重・東員町出身。幼少時代に空手を学び、中学1年から競技を開始。米国で単身渡米し、ルディ・エルナンデス・トレーナーに指導を受けて修行を積みながらアマ14勝2敗。同年4月にプロデビューし、1回TKO勝ち。16年に全日本フライ級新人王、17年に日本同級ユース王座、19年2月に日本同級王座を獲得。20年11月、WBO世界フライ級王座を奪取。23年5月、WBO世界スーパーフライ級王座を獲得し世界2階級制覇。家族は両親と弟龍人マネジャー。身長171センチの左ボクサーファイター。 ○…IBF世界バンタム級王者の西田凌佑(28=六島)が2日連続で観戦した。当初、WBA王者の井上拓真との統一戦を熱望していたが前日13日に敗戦。この日はWBC王者中谷の試合に熱視線を送った。「強いなと思いつつ、自分が対戦したら、のイメージで観戦していました。評価の高い選手。可能であればぜひ対戦したい」と話した。