「Project Morpheus」体験会 イベントリポート
株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)が主催する仮想現実(VR)対応のヘッドマウントディスプレイ・システム「Project Morpheus」のメディア向け体験会が7月21日、東京都内で開催された。SCE以外にもカプコン、セガゲームス、バンダイナムコエンターテインメントが開発中のVRデモコンテンツ5作品を出展。その体験レポートをお届けしたい。
「VR」とは
「VR」とは「Virtual Reality」の略称で「仮想現実」を意味する。VRは頭部に装着する機器「ヘッドマウントディスプレイ」(以下、HMD)を使って、視覚と聴覚を中心とした仮想現実体験ができる。体験者の頭の位置や向きに追従する形で目の前に広がる360度の立体映像を自由に見渡すことができ、自分がさもその世界に迷い込んでしまったかのような強烈な錯覚を味わえるのが特徴だ。 「Project Morpheus」は、SCEがPlayStation 4(以下、PS4)専用に開発したHMDで、PS4用ゲームに特化したVR体験を提供してくれるデバイスだ。本当にゲーム内の世界に入り込んでしまったような臨場感や、登場するキャラが本当に目の前に存在しているような実在感を覚える。これまでのモニター画面による2次元的ゲームプレイでは体験できなかった没入感がある。体験者は、ホラー映像の恐怖感や、恋愛シミュレーションのドキドキ感など、ゲームタイトルによって種類の異なる感覚をよりリアルに味わうことができるのだ。
■KITCHEN
今回体験したデモコンテンツのうち、3作品について筆者の体験談を紹介したい。まずは、カプコンのバイオハザードシリーズの開発チームが手掛けた「KITCHEN」。HMDとヘッドホンを装着し、ゲームが始まると、目の前には薄暗い不気味な部屋が現れる。下を向くと筆者は両手、両足が縛られ、椅子に座られている状態。まわりを見渡すと、部屋の左隅にスーツを着た男性が横たわっている。 突然、その男性がむくっと起き上がる。そしてひどく慌てている状態で、床に落ちたナイフを見つけ、筆者の両手を縛っているひもを切ろうとしてくれる。しかし、男性は目がよく見えていないようで動きがたどたどしく、筆者にナイフが突き刺さりそうだし、無事にひもが切れてもその勢いでまた筆者にナイフが突き刺さりそうで、何ともヒヤヒヤする。 突如男性の後ろに気配を感じたため見上げると、そこには黒髪を乱した女性が現れ、いきなり男性を後ろからナイフで刺す。男性も必死の抵抗を試みるが、女性は奇声を発しながら男性をめった刺しに。男性が生き絶えると、急に女性がこちらに近づいてきて、筆者の太ももを刺した! そして倒れた男性を引きずってキッチンの裏に連れて行く。嫌な音が続いたあと、また静寂が訪れる。すると、何かがこちらに投げられてくる。見るとそれは先ほどの男性の頭…。 その後、女性は姿を現さないため、筆者は助かったと安堵した瞬間、血まみれの手が目の前に現れる。そして、弄ぶように顔をなで回した直後、恐ろしい形相でナイフを筆者の胸に深々と突き刺した。ここでデモが終了。 キャラクターの造形やシチュエーションのリアルな表現、さらに不気味な音響効果で、動けない状況の絶望感、目の前で繰り広げられていく惨劇、自分もそこに巻き込まれて行く恐怖感は凄まじい。ホラーの苦手な筆者は、思わず声を上げ、泣きそうであった。