「Project Morpheus」体験会 イベントリポート
総括
ほかの2作品を含め、VRという新しい土俵でそれぞれのゲーム開発会社が培ってきたノウハウや特色を生かし、どう新しいゲーム体験を作り出すかという部分を追求しているものばかりで、VRと一括りで言えないくらいの異なる面白さを体験できるものであった。 特に「THE PLAYROOM VR(Monster Escape)」で感じたのは、動きの追従精度とそれに応じた映像の遅延の少なさである。それにより、さらに没入感が高まると共に、VR体験で生じやすい3D酔いも全く感じなかった(これまでのVR体験では筆者は3D酔いをしやすい方であったが、今回の体験では全くなかった)。 また、コンシューマーゲームで進化したゲーム演出の複雑化による面白さとは対照的に、シンプルなゲーム性で十分成立するものであるため、ワンアイデアの面白さやシチュエーションの再現力など、本来のゲームの楽しさや入り込みやすい世界観をどうつくるかというゲームの根本に立ち返った発想が非常に大事だと感じた。 2016年の上半期に一般販売予定の「Project Morpheus」だが、HMDとしてのスペックの高さだけでなく、PS4という大きなプラットフォームが存在することで、SCE、カプコン、セガゲームス、バンダイナムコエンターテインメントなどの大手老舗ゲーム各社が、既存のゲームファンを魅了し、さらに新規ファンの獲得に向け、コンテンツの開発競争が必然的に生まれていくこと自体が、他のVRデバイスにはない「Project Morpheus」の大きな期待と言えるだろう。 来年の発売時期にどのくらいの量のゲームコンテンツが揃い、どのような新しいゲーム体験をわれわれに味あわせてくれるのか、非常に楽しみである。 (文/井筒亮太)