ゼレンスキー大統領も認める…ロシアは「反撃」という言葉を使わず　ドネツク、ポクロフスクなど全面攻撃

　ロシアがウクライナの侵攻を受けたクルスクを奪還する反撃を始めたと、ウクライナが発表した。 　ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、ロシアがクルスクで「反撃措置」を取っていると明らかにした。英国BBC放送が報道した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍はこのような措置を想定しており、戦う準備ができていると主張した。 　ウクライナが先月6日にロシア領土のクルスクを奇襲侵攻した後、ロシアの反撃を認めたのは初めて。ゼレンスキー大統領はこの日、キーウを訪問したリトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領との共同記者会見で「ロシアが反撃措置を始めた」としたうえで、「これはわれわれウクライナの計画に従って起きている」と主張した。 　ロシア国防省は同日、ロシア軍がクルスクの10集落を奪還したとし、その地名を挙げた。だが、ロシア国防省はこの日の戦闘を「反撃」とは呼ばなかった。ロシア国防省は、ウクライナのクルスク侵攻後、ロシア軍によるウクライナ軍死傷者と損失など撃退戦況を毎日発表してきた。ロシアはウクライナ軍がクルスクに侵攻した後、約1万人近くが戦死したと主張している。 　ロシアの攻勢は激化したものとみられる。ロシア国防省は「北部部隊」の兵力がこの2日間、ウクライナ軍が占領した地域の西側側面であるスナゴスト周辺地域で集落を奪還したと明らかにした。クルスク戦線に派遣されたチェチェン特殊軍のアフティ・アラウディノフ司令官は、ウクライナ軍6部隊が深刻な損失を被ったと述べた。 　クルスクで戦闘中のウクライナ軍のある将校はBBCに、ロシアの反撃について、スジャ西から少し離れたところから始まったと認めたうえで、「戦闘は非常に激しく、状況は現在私たちに有利ではない」と語った。BBCの報道によると、ウクライナ軍部隊と関連したあるソーシャルメディアのアカウントは、ロシア軍がスナゴスト付近で予想外の攻撃を加え、ウクライナ軍が対抗して戦っていると明らかにした。 　ウクライナはクルスクへの侵攻以降、1300平方キロメートルを占領し、セイム川の橋梁3台を破壊してロシア軍の補給を阻んだと主張してきた。しかし、ロシア軍はセイム川に臨時浮橋を設置して川を渡るなど、軍事作戦には支障がないことが確認された。BBCの報道によると、ロシアの軍事専門家アナトリー・マトヴィイチュク氏はロシアメディアに、100平方キロメートル以上の面積が奪還され「敵の予備兵力、戦力強化、補給はこれ以上クルスクに到達できない」と語った。 　ウクライナ軍が侵攻したクルスクと国境を接するウクライナのスミ地域のコノトフも、ロシアのドローン攻撃で大きな被害を受けた。コノトフは、ウクライナ軍のクルスク侵攻後、補給基地の役割を果たしてきた。この都市の管理者たちはロシアのドローン攻撃で14人が負傷し、エネルギー施設が大きな被害を受け、住居地への電力供給が止まったと明らかにした。 　ウクライナ戦争の既存の東部・北部戦線でもロシア軍の攻勢はさらに激化している。ロシア軍は東部戦線のドネツクで要衝地であるポクロフスク郊外からわずか数キロメートル離れたところで戦闘を行っている。 ポクロフスクと近くのミルノフラドを結ぶ道は12日夜に破壊され、ポクロフスクにつながるすべての水道は断絶されたと、同都市の市長は明らかにした。 　11日には東部戦線で砲撃により国際赤十字隊員3人が死亡した。同機関が明らかにした。隊員たちはドネツク地域に救援物資を届ける途中だった。ゼレンスキー大統領はこの攻撃を「ロシアの戦争犯罪」と述べたが、赤十字側は隊員死亡の責任がどこにあるかについては特定しなかった。赤十字側は「救護配分場所に砲撃が加えられたこと」は「非良心的」とだけ明らかにした。 チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )