トランプ氏勝利に期待するプーチン・ネタニヤフ氏、ハリス氏を望むゼレンスキー氏…各国指導者の思惑は
5日に投票が始まったアメリカ大統領選挙の結果は、世界情勢に大きく影響する。各国指導者の思惑をまとめた。
■停戦案
ロシアのプーチン大統領は、共和党のトランプ前大統領の勝利に期待しているとみられる。侵略するウクライナに対する軍事支援に否定的で、当選すれば来年1月の就任までに和平を実現すると主張しているからだ。ロシアがすでに占領したウクライナ領の割譲を条件に、停戦に持ち込む案が取りざたされている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はウクライナ支援を主導してきたバイデン政権の路線を踏襲する構えの民主党候補ハリス副大統領の当選を望んでいるのは間違いない。10月31日、「(次期米大統領によって)もし支援が弱まれば、ロシアは更に領土を奪い、我々がこの戦争に勝つことはできなくなるだろう」とSNSに投稿した。
トランプ氏が当選した場合、米国から妥協を迫られかねない。ゼレンスキー氏は「我々の立場は領土を巡る妥協ではなく、米国の関与が維持されることに依拠した外交的手段の可能性を探るものだ」として、外交的解決を目指す上でも米国の後ろ盾が不可欠だとの考えを示した。
■「公然の秘密」
パレスチナ自治区ガザやレバノンで戦闘を続けるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らがトランプ氏の当選を望んでいるのは「公然の秘密」だ。
トランプ氏は前回の任期で国際的に認められていないエルサレムを首都と認定して大使館を移すなど極端な親イスラエル政策を取ったのに対し、ハリス氏は選挙期間中、イスラエルへの武器供与停止をにおわせたためだ。
イスラエルの民放「チャンネル13」は9月、ネタニヤフ氏が非公開の場で「トランプ氏は我々が直面している難問を理解してくれるが、もう一方は問題となるだろう」と語ったと報じた。首相府は否定したが、本音とみられている。パレスチナ自治政府高官は取材に対し、「トランプ氏が当選したら悪夢の再来になる」と懸念を口にした。