万博で有名に…サイバー攻撃仕掛ける可能性は十分、「関西ゆかりの企業」対策徹底を
万博でリスク
サイバー攻撃は、空き巣と同じで、入り口部分の通信機器の防御を固めても、突破されるかもしれない。貴重品を金庫で保管したり、警備会社と契約したりするのと同様、ネットワークに侵入されても、被害をゼロに近付けるための対策を講じるべきだ。 専門的な人材や資金が乏しい中小企業も、ウイルス対策ソフトをしっかり運用するなど、基本を徹底すればおおむね99%のサイバー攻撃を防げる。中小企業のセキュリティー対策を支援する全国的な仕組み「サイバーセキュリティお助け隊」のように、費用が手頃なサービスもある。
2025年は、大阪・関西万博が開かれ、関西や大阪が世界的に有名になる。名前を売ろうとするグループが、サイバー攻撃を仕掛ける可能性は十分にある。かつて日本政府を狙ったサイバー攻撃のキャンペーンでは「霞が関」と似た名前の霞ヶ浦河川事務所(茨城県)のホームページが攻撃された。今回も、会社名に「関西」が付いているだけで狙われることがあり得る。万博と全く関係がなくても、関西にゆかりのある企業は、「攻撃されるかもしれない」と注意しなければならない。
もりい・まさかつ
1989年大阪大院修了。徳島大工学部教授、神戸大大学院教授を務めた。2024年4月から同大学名誉教授。サイバーセキュリティーやサイバー犯罪対策の専門家として、内閣府など様々な政府系委員会の委員を歴任した。大阪府出身。66歳。
RaaS
「Ransomware as a Service」の略で、効率的にランサムウェア攻撃をするための仕組み。ランサムウェアを開発する「オペレーター」、侵入経路を探す「IAB」、実行犯「アフィリエイト」などの役割分担がある。
<神戸大学>
全国2番目の官立高等商業学校として、1902年に設置された神戸高等商業学校が起点。29年に神戸商業大として開学し、49年に兵庫師範学校などと一つになり神戸大が設置された。5月1日現在の学生数は学部(10学部)が約1万1500人、大学院(15研究科)は約4500人。