「Colabo名誉毀損裁判」で385万円の“異例の高額賠償”命令…ネット空間で深刻化する「社会が壊れる危険」
インターネット空間での「デマ」が社会を壊すリスクにどう対処するか
特に、インターネットという空間では、デマがあっという間に拡散され、被害者が自力でそれを払しょくすることがきわめて困難という問題がある。 デマを軽信、あるいは虚偽と知りつつ、そのデマに乗じた発信をする人があとを絶たない。しかも、その中にはインフルエンサーや、知識人と目されていた人、「選良」であるはずの国会議員、地方議員、首長やその経験者さえいる。表現の自由についての従来の「思想の自由市場」「対抗言論」の考え方では十分な対処ができなくなってきているという現実がある。 神原弁護士:「控訴審では、請求額の満額の660万円を目指したいと思っている。そのためには裁判官に発想を変えてもらわなければならない。 SNS上のデマの被害は、すでに世界的な重大な問題になっている。アメリカではデマを信じて連邦議会の議事堂まで突入してしまう人もいる。イギリスで起きたイスラム排斥の暴動も発端はSNSだった。 デマによる名誉毀損の被害者が、200万円、300万円程度の損害賠償額で満足しなければならないというのでは、社会が壊れていくのを放置することになる」 意図的に虚偽の情報を発信・拡散して他者の名誉等の法益を著しく毀損し、かつ訴訟を起こされたら「カンパ」等の名目で利益を得ようとする行為が横行すれば、法的な救済手段が無意味になるおそれがある。 これを抑止するために、裁判所での損害賠償額の認定基準の見直し、あるいは、懲罰的損害賠償の制度の導入等も視野に入れた、被害者救済のための有効な対抗策が早急に求められている。
弁護士JP編集部