「Colabo名誉毀損裁判」で385万円の“異例の高額賠償”命令…ネット空間で深刻化する「社会が壊れる危険」
原告側弁護士「ほぼ全面勝訴」
判決後の会見で、原告側弁護団の神原元(かんばら はじめ)弁護士は、今回の判決を高く評価するコメントを行った。 神原弁護士:「性的被害を受けている女性への支援活動を行っている団体に対し、2022年頃から大変なインターネット上での誹謗中傷というものが繰り返されている。被告男性の一連の行為は、この中のとりわけ悪質なもののひとつだ。 その違法性、悪質性というものが暴かれた判決ということで、我々は非常にこの判決を高く評価している。 もちろん金額についてはもっと高くないとおかしいと思うが、今の法制度にしては高額だ。 投稿の削除請求も認められていることからすれば、ほぼ全面勝訴と考えている」
損害賠償額ではカバーされない“深刻な損害”と“将来の損害”
他方で、仁藤氏は、判決内容を高く評価しながらも、それが加害者に対する抑止として機能しないおそれがあることに憂慮を示した。 仁藤氏:「被告は、『Colaboと裁判をする』『Colaboに関する調査をする』という名目で、カンパや寄付を募り、2000万円以上の収益があると投稿している。 今回支払いが命じられた385万円という額は、名誉毀損の裁判としては大変高額とのことだが、被告にとっては、それを支払ったところで痛くもかゆくもない。 女性支援を攻撃することで儲かってしまうという現状がある。他の加害者たちも、Colaboや少女たちを攻撃し、デマを拡散することによって カンパを集めて金儲けをしている。 一方で、私たちは、この裁判への対応や、デマを流されるたびに事実をお伝えするといったことに、多大なお金や労力を使わなければならず、本来の支援活動に多大な影響を及ぼしている」 Colaboの業務や、支援対象である少女たちにも、深刻な影響が生じているという。 仁藤氏:「Colaboに対する調査という名目で、少女たちのためのシェルターや私の自宅の場所を探ったり、訪れたりする人がいる。 Colaboのシンボルのピンクのバスなど、私や少女たちが出入りする場所がSNSでさらされている。少女たちもすごく気持ち悪がって、怖がっている。 すでにColaboとつながっている少女たちは、被害から脱して、人との信頼関係や自分の将来を考えられるようになってきたところで、『やっぱり社会ってこんななんだ』と絶望を感じてしまっている。 また、Colaboに助けを求めようと思った少女がネット検索した時に、『不正』とか『大量脱税』とかが関連ワードに出てきたり、被告の投稿が目に入ったりすると『そういうところなんだ、怖いな』と思って躊躇(ちゅうちょ)した少女もいる。 あるいは、Colaboに助けを求めたくても、『今助けを求めると自分もこのように晒されるのではないか』と不安を感じてSOSを出せなかったりした少女たちがいる。 私は、これらの事実があることを把握しているが、実際には、把握できていないケースの方が多いと思う」 名誉毀損の加害者が、加害行為に乗じて収益を得る。裁判所が明確にデマだと認定しても、それに対する法的な制裁と、被害者の救済の制度が十分に機能しないという事態が生じている。