「Colabo名誉毀損裁判」で385万円の“異例の高額賠償”命令…ネット空間で深刻化する「社会が壊れる危険」
名誉毀損についての被告の主張・証拠を「全面的に否定」
名誉毀損は、「事実を摘示し、他人の名誉を毀損した」場合に成立する。摘示された「事実」が真実か否かは関係ない。ただし、判例上、事実に公共性があり、かつ、公益目的があった場合には、一定の要件の下で例外的に不法行為責任が否定されることがある(最高裁昭和41年(1966年)6月23日判決等参照)。その例外は以下のようなものである。 まず、摘示した事実が真実だと証明すれば免責される(真実性)。また、真実性を証明できない場合でも、真実と誤信するにつき相当な理由があれば免責される(真実相当性)。 行為①で問題となった記事・動画の内容は、原告らが以下のような行為を行ったとするものである。 ・非営利法人と偽っての「大量脱税」 ・新宿区から3万6000円を騙し取った「詐欺行為」 ・知的障害を持つ人を勧誘して巨額の利益を得る「貧困ビジネス」 ・仁藤氏ら役員が1万円超の和牛コース料理を食べた「特別の利益供与」 これらの記事・動画について、被告男性は名誉毀損と認定されるのを避けるべく、「事実の摘示」ではなく「意見ないし論評の表明」「法的見解を示したにすぎない」などと主張した。 これに対し、裁判所は被告の主張をすべて退け、いずれも「事実の摘示」にあたるとしたうえで、原告らの社会的評価を低下させるとして名誉毀損を認定した。 また、免責事由となる真実性・真実相当性については、被告の主張、被告が提出した証拠の証拠価値をことごとく否定し、いずれの内容についても「真実であるか、または被告において真実であると信じたことについて相当な理由があるとは認められない」と断じている。 なお、「事実の公共性及び目的の公益性」については「検討するまでもない」とした。
「性的に揶揄(やゆ)する意図」「貶(おとし)める目的」を認定
行為②は、仁藤氏が過去に東日本大震災の被災地の高校の文化祭を訪問した際に撮影された、仁藤氏がフランクフルトソーセージを口元に近づけた構図の画像について、被告男性が「お下劣写真」等の文言を付して、口腔性交を想像させるツイートを行ったことなどである。 被告男性は「仁藤氏が破廉恥で卑猥な言動をとっていたという驚きを表現し、仁藤氏の言説に対して一石を投じるもの」「社会通念上許容される限度を超えて仁藤氏を侮辱するものではない」などと主張した。 これに対し、裁判所は「仁藤氏の言説に一石を投じる意図をうかがわせる記述は見当たらない」と断定した。 そのうえで、「被告は、敢えて仁藤氏を性的に揶揄する意図の下で、本件写真に卑猥な文言を加えて本件各ツイートをしたものとみるほかない」「性加害等に反対する立場から10代の若い女性を支援する社会活動を行っている仁藤氏の立場を貶める目的で投稿されたものであることが優に推認される」などと強い調子で断じた。さらに、「社会通念上許される限度を超える侮辱行為として、違法である」とした。