韓国で深刻化する“戒厳トラウマ”…専門家が助言「不安要因から距離を」
【12月28日 KOREA WAVE】韓国で「12・3非常戒厳」が市民の生活と心理に深刻な影響を与え続けている。ソウルに住む会社員の28歳の男性は、兵務庁からの「兵力動員召集通知書」を受け取り、思わず驚いたと語る。この男性は「普段なら形式的な通知だとわかるが、この状況下では何かが起こるのではないかと不安になる」と心情を吐露した。 戒厳令以降、不眠や鬱、無気力感など心理的困難を訴える市民が増加している。クリスマスや年末の明るい雰囲気も失われ、社会全体に暗い影を落としている。29歳の女性会社員は、戒厳令の影響で睡眠障害に苦しんでいると語る。 「夜中にまた戒厳が発表されるのではないかという不安から熟睡できず、日中も疲労感が抜けない」 また、大学生の23歳男性は「戒厳後、ヘリコプターの音が聞こえるだけで心臓がドキドキし、軍服を着た人を見ると警戒してしまう」と話す。戒厳令が解除されてから3週間以上が経過したが、多くの市民にとって「戒厳トラウマ」は現在進行形だ。 Googleトレンドによると、「兵力動員召集通知書」に関連する検索は24日に140%急増。オンラインでは「動員令だなんて心臓が飛び出るかと思った」「まるで戦争が始まったかのようだった」といった反応が相次いだ。 軍隊経験者にも影響は及んでいる。30歳の男性会社員は「軍経験があるため、戒厳令が他人事に思えない。災害通知が鳴るたびに戒厳関連かと驚いてしまう」と話す。予備軍8年目の31歳男性は「戒厳によって市民に銃口を向ける事態は、戦時動員以上に避けたいことだ」と述べた。 また、政治的混乱が続く中で雇用環境の悪化も懸念されている。28歳の転職準備中の男性は「転職を決意して退職した直後に非常戒厳が宣布されるとは思わなかった。来年の状況がさらに厳しくなると聞いて不安が募る」と嘆いた。 専門家は、今回の戒厳令が市民に与える心理的影響を「トラウマ」として理解すべきだと指摘している。翰林(ハンリム)大学の精神医学専門家、イ・ビョンチョル教授は「戒厳や軍事衝突を経験した人々には無力感や恐怖感が生じる場合がある」と述べ、深刻なケースでは他者の支援を受けることで客観的に状況を見ることが重要だと強調した。 ソウル大学心理学科のクァク・グムジュ教授は「現在、社会全体に集団的な不安と鬱が広がっている。一部の人々はこれがさらに深刻化し、トラウマに発展する可能性がある」と分析している。自己防衛として、不安を引き起こす要因から距離を置くことも効果的だと助言した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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