ビル・ゲイツが実践している読書術が効果的な理由。脳科学でわかった「学習の仕組み」
ビル・ゲイツ氏は、何かを学んで、それをしっかり記憶したいとき、目の前にあるそのトピックだけでなく、それに関係するトピックについての本も幅広く読むそうです。
本の知識を記憶する方法
あるインタビュー動画の中で、ゲイツ氏はこう説明しています。たとえば、科学について学びたいと思っている人がいるとします。 そんなときは、科学の歴史についての本や、それぞれの科学者と、彼らが経験した苦闘、そこから得た見識についての本も読むといいと、ゲイツ氏は言っています。 「そうすることで、タイムラインとマップが手に入ります。いくつにも枝分かれする科学が把握できます」と、ゲイツ氏は言っています。 大まかなフレームワークが手に入れば、そこに何でも入れられます。十分な数の本を読めば、さまざまなことに類似点が見つかります。互いに似たところがあるので、学習が容易になるのです。
パターン化する
その一方で、ゲイツ氏はこうも言っています。心の中にフレームワークもパターンも存在していない状態で、まったく未知の何かを学ばなければならないときには、学習がずっと難しくなると。 脳科学も、ゲイツ氏が正しいことを示しています。情報を収められるフレームワークやパターンを模索することで、学習を容易にできることがわかっているのです。 ペンシルベニア大学で物理学や神経科学、生物工学などを研究する研究者たちがチームをつくり、ボランティア360人におもしろい実験を行ないました。 各被験者の視線の先にあるパソコン画面には、グレーの正方形が5個並んでおり、その中の2個が赤に変わります。被験者には、正方形の色が赤に変わったら、目の前にあるキーボードの、対応するキーをすぐに押すように指示しました。 研究チームは、正方形の色が赤に変わってから被験者がキーを押すまでに、どのぐらいの時間がかかるかを観察しました。 実は、被験者には知らされていませんでしたが、色が赤に変わる順番はランダムではありませんでした。その順番は、2つのパターン、結合した3個の五角形をベースにした「モジュラー」パターンと、結合した5個の三角形をベースにした「ラティス」パターンのどちらかに従っていたのです。 脳がパターンを認識し、どの正方形が次に赤に変わるのかを予測できれば、被験者はキーをもっと速く押せるようになるはずだと、研究チームは仮説を立てました。 実際に被験者は、認識しやすいモジュラーパターンのほうが、どの正方形が赤に変わるのかを予測でき、間違えることもあったにせよ、対応するキーをずっと速く押すことができました。